icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

けんさ—私の経験

髄膜炎の診断は慎重に

著者: 近藤進1

所属機関: 1桐生厚生総合病院神経内科

ページ範囲:P.677 - P.677

文献概要

 脳脊髄液検査の適応はいろいろあるが,実際には髄膜炎を疑って行われることが最も多い.髄膜炎では一般に,項部硬直,Kernig徴候などの髄膜刺激症候がみられるが,病初期の場合にはこれらの症候がみられないこともある.したがって,発熱,頭痛,悪心,嘔吐などの症状がみられるときには,髄膜刺激症候がなくても髄膜炎を疑って脳脊髄液検査を行うべきである.また,結核性髄膜炎や真菌性髄膜炎の初期には,典型的な症状が出ないことが多い.発熱しかみられなかったり,時には発熱さえないこともある.大切なことは,まず病気を疑うことである.
 髄膜炎では髄液圧が上昇することが多いが,嘔吐や発熱のために脱水状態のときには上昇しないこともある.髄液の細胞成分は,化膿性髄膜炎では多核球優位,ウイルス性髄膜炎,結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎では単核球優位のことが多い.しかし,化膿性髄膜炎では検査前に抗生物質が投与されると単核球優位になることがある.さらに,ウイルス性髄膜炎,結核性髄膜炎,真菌性髄膜炎でも病初期には多核球優位になることがある.髄液糖は血糖値のおよそ1/2〜2/3に相当する.髄膜炎の症状のために食事がとれなかったり,あるいは点滴をしている場合には,血糖値がかなり変動することがあるので,脳脊髄液検査のときに同時に血糖値も測定しておく.髄膜炎の鑑別には,髄液糖値,その他に留意し,臨床症状も含めて慎重に検討する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら