文献詳細
文献概要
図解・病態のメカニズム 胃疾患・1
胃液の分泌機構
著者: 大澤博之1 菅野健太郎1
所属機関: 1自治医科大学消化器内科
ページ範囲:P.1895 - P.1897
文献購入ページに移動 壁細胞における塩酸分泌調節機序
壁細胞を刺激して酸分泌活動を行わせる最も重要な物質としては,ヒスタミン,アセチルコリン,ガストリンが代表的なものである.これらが,すべて壁細胞に直接作用するのか,あるいは間接的に働くのか(ヒスタミンがすべての酸分泌のメディエーターとなっているという説)については,1980年頃までは激しい論争があったが,現在では,分離壁細胞による多くの実験から,壁細胞は,酸分泌刺激効果の強弱はあるものの,いずれに対しても反応性を示すことが明らかにされ,これらに対するそれぞれ独立した受容体をすべて有していることが示された.壁細胞のこれら受容体分子のcDNAは,1992年までにすべてがクローニングされ,分子構造が明らかにされた(表1).壁細胞上のヒスタミン受容体は,H1,H2,H3の3種類のサブタイプのうち,薬理学的性質からH2に分類される.またムスカリン受容体は主にM3サブタイプ,ガストリン受容体はCCKB(cholecystokinin-B)受容体と同一であると考えられる.ただ,ガストリン受容体にはスプライシングの違いによる変異型受容体が存在することが報告されている.
壁細胞を刺激して酸分泌活動を行わせる最も重要な物質としては,ヒスタミン,アセチルコリン,ガストリンが代表的なものである.これらが,すべて壁細胞に直接作用するのか,あるいは間接的に働くのか(ヒスタミンがすべての酸分泌のメディエーターとなっているという説)については,1980年頃までは激しい論争があったが,現在では,分離壁細胞による多くの実験から,壁細胞は,酸分泌刺激効果の強弱はあるものの,いずれに対しても反応性を示すことが明らかにされ,これらに対するそれぞれ独立した受容体をすべて有していることが示された.壁細胞のこれら受容体分子のcDNAは,1992年までにすべてがクローニングされ,分子構造が明らかにされた(表1).壁細胞上のヒスタミン受容体は,H1,H2,H3の3種類のサブタイプのうち,薬理学的性質からH2に分類される.またムスカリン受容体は主にM3サブタイプ,ガストリン受容体はCCKB(cholecystokinin-B)受容体と同一であると考えられる.ただ,ガストリン受容体にはスプライシングの違いによる変異型受容体が存在することが報告されている.
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