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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻6号

1999年06月発行

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・50

神と聖霊の世界に引き返したパラケルスス

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1066 - P.1067

文献概要

 医学史をひもとくと,科学としての医学からさらに進んで宗教へと踏み出し,思索の深みにはまりこんだ医者に出会う.ヴァン・ヘルモントもそうであったし,パラケルススもそうである.いずれも時代を超越した鋭い思考と感性の持ち主で,精気と霊魂と自然力が混然として医学思想を支配していた時代から,理性的な科学の時代へと最後の跳躍を試み,そしてふたたび神と精霊の世界へ引き返した.
 パラケルススは北イタリアのフェラーラ大学で医学を学び,欧州を遍歴した.有名な出版業者フローベンの痛風と思われる下肢の病気を治して彼に信頼され,33歳のときにバーゼル大学の教授になったが,1527年6月5日に「ヒポクラテスやガレノスたちの教義から離れて自らの経験と研究により教える」と宣言したため,教授たちに排斥されて1年後にバーゼルを去った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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