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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻9号

1999年09月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・53

血液型とポリオの研究を開拓したラントシュタイナー

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.1572 - P.1573

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 ウイーン大学とロックフェラー研究所で研究したカール・ラントシュタイナーが,A,B,M,N,P,Rhの血液型を発見してノーベル賞を受賞したことはよく知られている.しかし,彼がポリオと人類の戦いで重要な発見をしたことを知る人は少ない.ポリオがウイルスで起きること,そしてある種のサルで発病させることができることを初めて発見し,ポリオの研究を飛躍的に前進させたのは40歳のラントシュタイナーであった.この他にも自己免疫疾患(発作性寒冷血色素尿)を初めて記載したり,サルで初めて梅毒を作ったり,リケッチアの組織培養に成功するなど,感染病学と免疫化学の分野での巨人である.
 ここではポリオの話をしたい.現在ポリオはワクチンによって制圧されているが,ソーク・ワクチンの有効性が確立されるまでは,例えばスウエーデンでは子供の死因の5番目で,アメリカでは年間6万近い子供が発病し,2万もの子供が麻痺を起こし,3千人が死んでいた.ソーク・ワクチンの安全性と有効性が報道された1955年4月12日には,アメリカ中の教会が鐘を鳴らした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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