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“One More Step”
心嚢水の1検査から確診が得られた稀な結核性心嚢炎の1例
著者: 小橋吉博1
所属機関: 1川崎医科大学附属川崎病院内科
ページ範囲:P.10 - P.10
文献購入ページに移動 症例は70歳,男性.呼吸困難感,全身浮腫を主訴として来院.胸部X線上,心拡大および肺水腫像を認め,心不全との診断で循環器部門へ入院となった.利尿剤,強心剤などを投与し,心不全,肺水腫状態は改善傾向がみられていた.そこで,心不全の原因精査目的で心臓超音波検査を施行したところ,中等量の心嚢水貯留が認められた.主治医が心嚢穿刺をたまたましていたところに居合わせたが,最初は漏出性だろうと思ってみさせてもらったところ,黄褐色で混濁も軽度あり,すぐに凝固しそうなほどフィブリンの多い粘稠な心嚢水であったため,滲出性に違いないと思い,主治医と相談して,一般の性状以外に一般細菌,抗酸菌(ADAも含む),細胞診などを提出した.その結果,一般細菌,細胞診ともに陰性,抗酸菌も塗抹は陰性であった.しかし,心嚢水中のADAが57IU/lと上昇としていた.結核性を疑い,胸部X線を見直したあと,胸部CTもとり肺上葉を中心として検索したが,肺内陰影は検出しえなかった.一方,ツベルクリン反応も調べた結果,中等度陽性との結果が得られ,6週後の抗酸菌培養検査で陽性,ナイアシンテスト陽性で結核菌と同定された.
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