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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻11号

2000年10月発行

文献概要

“One More Step”

収縮性心膜炎もお忘れなく

著者: 茅野千春1

所属機関: 1県立木曽病院

ページ範囲:P.74 - P.74

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 内科一般,循環器医として仕事をしている関係上,心エコーは私にとって必須の検査となっています.心機能というと左室の収縮がまず問題となります.左室駆出率(EF)が0.6以上あるから心機能は心配ないとか,0.4以下だからうっ血性心不全に陥った原因でしょうといった会話になります.多くの症例では事足りるのですが,時として収縮状態だけに目を奪われていると病態を見誤ることがあるので注意が必要です.高齢者で心房細動のある患者さんでは,エコー上左室の収縮が問題なく見えても肺うっ血状態に陥ることがままあります.左室の拡張障害や心拍数の問題が原因として考えられているようです.
 心室の壁運動だけに目がいってしまい収縮性心膜炎の症例で診断・治療が遅くなってしまった経験があります.呼吸困難,胸水,腹水,浮腫で入院したのですが,原因がよくわかりません.血液検査で特異的な所見はなく胸部X線写真,心エコー,胸部CT,細胞診などを行ってみましたが,原因と考えられるような所見は得られませんでした.利尿剤に反応しませんし,病態は徐々に悪くなりますし,経口不良などもあって低蛋白血症,脱水による腎機能障害を合併してきました.心エコー検査は何回かしましたが左室,右室ともに収縮は良好で拡張もなく心嚢水もなく問題なしと判断してしまいました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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