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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻11号

2000年10月発行

文献概要

“One More Step”

収縮状態が末期になったら…

著者: 茅野千春1

所属機関: 1県立木曽病院

ページ範囲:P.139 - P.139

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 エコー検査はある程度主観が入ってしまう検査です.心エコー検査での左室駆出率(EF)の値はMモードを記録して計測する都度,多少違った値が出てきます.Bモード法で見た印象では全く問題のない左室の壁運動なのにEFが0.5以下の値になってしまい,Bモード法の壁運動に合う値が出るように計測し直したりとか,また逆のこともあります.左心不全で入院した治療前後や慢性心不全でアンジオテンシン変換酵素阻害薬を1年間服用した後など,Bモード法上明らかに左室の収縮状態が改善している場合は,EFを出すときに以前の値を参考にしながら何回か計測していい値を選択するようなこともします.検査に主観が入り過ぎていてけしからんとお叱りを受けるかもしれませんが,私はある程度しかたないし,意味ある数字の比較だと考えています.
 困るのが虚血性心疾患にしろ心筋症にしろ左室の収縮状態が末期に近くなってしまった場合の評価です.慢性心不全が代償できなくなって肺うっ血を呈して入院したときと,入院後自覚症状が改善して胸部X線写真でうっ血が消失したときとで,Bモード法上,エコー所見にほとんど変化を見いだせないことがままあります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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