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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻12号

2000年11月発行

文献概要

今月の主題 消化器薬の使い方 2001 消化器治療薬を使う!

消化性潰瘍

著者: 草刈幸次1

所属機関: 1たま日吉台病院

ページ範囲:P.1786 - P.1788

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◆Key Question
消化性潰瘍治療の第1選択はプロトンポンプ阻害薬(PPI:proton pump inhibitor)か?臨床エビデンス
 消化性潰瘍の治療は,近年大きく様変わりしている.外科的治療が一部の合併症に適用されるにとどまり,強力な酸分泌抑制薬による外来治療ができる疾患になった.また「消化性潰瘍は感染症か?」との議論の中で,除菌を中心とする治療が主流となる傾向にある.現在の医療体制の中には,2つの治療指針が示されている.
 内視鏡で診断された消化性潰瘍患者にプロトンポンプ阻害薬(PPI)を使用する機会が増えたのは確かである.いわゆる潰瘍症状を訴え受診した患者の愁訴の早期寛解,早期治癒に向けて,H2受容体拮抗薬(H2RA)に比し,現時点ではPPIが最優先されている.PPI服薬後2〜3日以内に症状は消失し,自覚症状の消失した患者は潰瘍が治癒したものと勘違いし,その後の治療を放棄することさえままみられる.このことは,1980年代初めにH2RAが登場したときにも,症状消失期間こそ違え,同様な状況がみられた.このように,両者とも胃酸分泌を強力に抑えることで症状寛解に効果的である.しかし,この時期に治療中断すると胃・十二指腸に潰瘍は残存し,再び患者を悩ませることが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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