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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻12号

2000年11月発行

今月の主題 消化器薬の使い方 2001

消化器治療薬を使う!

機能性消化管障害

著者: 原澤茂1

所属機関: 1済生会川口総病院

ページ範囲:P.1790 - P.1792

文献概要

◆Key Question
どのような症例に消化管運動改善薬が効果的でしょうか?
臨床エビデンス
 機能性消化管障害(functional dyspepsia:FDまたはnon-ulcer dyspepsia:NUD)とは器質的疾患が認められずとも,慢性的に,胸やけ,食欲不振,悪心・嘔吐,胃部膨満感,腹部重圧感,上腹部痛などの消化器症状を訴える1つの症候群である1).この病態生理に関しては多くの検討がなされているが,1つの原因,1つの病態では説明できず,多くの要因が関与していることも事実であり,1つの証拠(エビデンス)で定義されるものではないのである.検討されている病態には,上部消化管運動障害(胃排出機能異常を含めて),胃酸分泌異常,Helicobacter pylori(H.pylori)の感染の有無,胃炎の程度,精神・心理的異常の有無,内臓知覚異常の有無などが報告されている.
 一方,FDまたはNUDは臨床的に自覚症状を大別して4つに分類され,胸やけ,呑酸を主症状とする胃・食道逆流型,食欲不振,膨満感,重圧感,悪心・嘔吐を主体とする運動不全型,空腹時痛,夜間痛などの腹痛を主症状とする潰瘍症状型,そしてうつ症,不安症的な症状が中心となる非特異型の4つである.これらの4つの亜型においてそれぞれ病態生理や臨床的特徴をまとめてみたものが表1になる2,3)これによると運動不全型と胃・食道逆流型はともに胃排出能の遅延状態が有意であるが,その他の亜型に関しては有意な病態がみられない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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