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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻12号

2000年11月発行

文献概要

今月の主題 消化器薬の使い方 2001 消化器治療薬を使う!

過敏性腸症候群

著者: 宮原透1

所属機関: 1防衛医科大学校第2内科

ページ範囲:P.1804 - P.1805

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◆Ke Question
消化管運動調整薬は過敏性腸症候群の治療薬となるか?
臨床エビデンス
 過敏性腸症候群とは,長期にわたる再発性の腹痛ならびに異常な便通障害(便秘,下痢もしくは両方)のコンビネーションと特徴づけられる.腹痛はしばしば食後に起こり,排便で軽快する.他の症状としては,腹部膨満感,粘液の排出,残便感などを伴う.原因としては器質的疾患,生化学的要因もしくは感染によるものではない.むしろ過敏性腸症候群は脳腸相関の調節失調,異常性に原因がある.そこには,痛覚の感受性の上昇,異常運動(消化管平滑筋運動の亢進もしくは不規則)を伴う.過敏性腸症候群患者は腸の通過時間の異常(下痢,便秘)のみならず,痙攣(強い収縮)を認める.痛覚の異常は知覚神経の過敏に起因する.内臓知覚神経が過敏であるうえに,通常の食事内容の消化,腸管の収縮にかかわらず腹痛,不快を訴える.ストレスが過敏性腸症候群を引き起こすわけではないが,ストレスは症状を増強する.ストレスは消化管機能に影響を与えるが,過敏性腸症候群ではさらに強い反応をもたらすと考えられている.
 しかしながら診療面においては,診断基準,治療ガイドラインもいまだ確立されていないのが現状である.最近,研究面の統一をはかるためRomeⅡの診断基準(表1)1)が普及している.治療についても,効果の判定も主観的要素の占める割合が多いため苦慮せざるをえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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