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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻12号

2000年11月発行

図解・病態のメカニズム—呼吸器疾患・1

目で見る肺の聴診所見

著者: 村田朗1 工藤翔二1

所属機関: 1日本医科大学第4内科

ページ範囲:P.1863 - P.1867

文献概要

 肺音(lung sounds)とは,われわれが胸壁上から聴取する音で,肺・胸郭内で発生し,正常・異常とは関係なく,心血管系を音源とする音を除くすべての音である.そして,呼吸により気道内に生じた空気の流れを音源とする生理的な音である呼吸音と,喘鳴など病的状態で発生する副雑音とに分類される1)(図1).この肺音の特徴は,第一に換気運動によってのみ音が発生することである.したがって聴診の際には,吸気・呼気のどの時期で聴こえるか,呼吸位相と関連付けて音を聴くようにしなければならない.第二に,肺内で発生した音は2つの異なる経路で胸壁に達する.一つは,肺を通過して胸壁に伝播されるものである.肺は高い音を通しにくい性質(低域通過型)のフィルターであり,発生源から遠いところでは小さく,低い音になる.したがって,肺音(特に呼吸音)の変化は,フィルターとしての肺の性質の変化を反映している2).もう一つの経路は,太い気道で発生する音の気道による伝播である.たとえば,喘鳴の90%以上は気管に伝播する.そのため気管の真上での頸部聴診は重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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