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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻2号

2000年02月発行

文献概要

図解・病態のメカニズム 胃疾患・4

胃粘膜傷害と修復のメカニズム

著者: 高橋盛男1 片山裕視1 桑山肇1

所属機関: 1濁協医科大学越谷病院消化器内科

ページ範囲:P.319 - P.322

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Introduction
 Cyclooxygenase(COX)はプロスタグランディン産生の律速酵素であり,胃粘膜でも重要な働きをしている.COXにはCOX-1,COX-2の2つのisozymeが確認されている.COX-1は常に一定量発現しており,あまり発現誘導されることはない.一方,COX-2は通常は発現しておらず,炎症のときなどに発現誘導される.したがって,COX-1は粘膜の恒常性維持に働き,COX-2は炎症にかかわると考えられるようになった.NSAIDsは,COX-2を阻害することにより抗炎症作用を発揮する.一般にNSAIDsは,COXを無差別に阻害する.つまりCOX-2を阻害すると同時にCOX-1も阻害する.NSAIDsの胃粘膜に対する傷害作用は,このCOX-1阻害によるものではないかと考えられるようになった.したがって,COX-2のみ選択的に阻害する薬剤があれば,副作用のない優れた抗炎症剤になりえるのではないかという発想が生まれた.こうして開発されたのがCOX-2特異的阻害剤である.
 しかしこのような考え方に対して,一つのアンチテーゼが提出された.Mizunoらは,COX-2は潰瘍の修復に重要な役割を果たしていることを示した1).つまり,潰瘍修復時に潰瘍辺縁でCOX-2が誘導され,それが潰瘍修復の役割を担う.潰瘍修復の役割を担うということは,粘膜の恒常性維持にも関係する可能性が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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