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雑誌目次

雑誌文献

medicina37巻4号

2000年04月発行

雑誌目次

今月の主題 内科医のための皮膚所見の診かた 皮膚所見を理解するために

皮膚の構造と機能

著者: 石川治

ページ範囲:P.508 - P.511

●皮膚は人体最大の臓器であり,生体の恒常性維持のための様々な機能を担っている.
●正常組織の理解なしには病的組織(疾患)の理解は不可能である.
●原発疹は何かを理解することが診断への第一歩となる.

内科医のための発疹の診かた

基本的な診察と問診のポイント

著者: 斉藤隆三

ページ範囲:P.513 - P.517

●診察の場では患者との良好なコミュニケーションが保てるような雰囲気を作る.
●問診では診断のための情報を患者から聞き出すことが重要である.
●発疹の性状を詳細に観察し,触診を行い,自覚症状などを聴取しカルテに記載する.
●鑑別診断,病因の検索には種々の臨床検査を行う.

紫斑—老人性紫斑からChurg-Strauss症候群まで

著者: 川名誠司

ページ範囲:P.518 - P.521

●紫斑を診る際,次の点に留意する.①触知性紫斑(palpable purpura),すなわち紫斑に浸潤を触れる,あるいは丘疹や結節性病変を認める場合には,壊死性血管炎を強く疑い病理組織検査をする.②非触知性紫斑は,止血機構の障害によるか,皮膚原発性・限局性の紫斑を考える.前者に潜む基礎疾患を見逃さないために,出血素因検査が必要である.

水疱—虫刺症から類天疱瘡まで

著者: 橋本公二

ページ範囲:P.522 - P.524

●水庖症以外の疾患では,水疱の発生部位を水疱の破れやすさ,びらんの深さなどから推測する.
●水疱症では,自己免疫性か遺伝性かを鑑別して,診断を進める.

膿疱—毛包炎から膿疱性血管炎まで

著者: 西部明子 ,   岩月啓氏

ページ範囲:P.525 - P.527

●膿疱や膿瘍を見た場合には,感染症ばかりでなく,異物や無菌性病変を鑑別しなくてはならない.
●感染症では,一般細菌,抗酸菌,真菌などの同定を進める.
●無菌性膿疱では,乾癬,リウマチ性疾患,血液疾患,腸疾患などの合併症を念頭に置く必要がある.

膨疹—蕁麻疹からアナフィラキシーショックまで

著者: 森田栄伸

ページ範囲:P.528 - P.530

●膨疹は皮膚の限局性浮腫であり,出現後数時間以内に痕を残さず消失する.蕁麻疹がその代表的疾患である.
●膨疹の出現後数日間にわたって浮腫や赤みが続き,全身倦怠感や関節痛を伴う場合には蕁麻疹様血管炎を考える.
●膨疹を伴うショック症状をみた場合はアナフィラキシーショックを考える.薬剤,血液製剤,ハチ毒,食物などが原因となる.食物の関与した運動誘発アナフィラキシーの場合,小麦製品が原因であることが多い.

紅斑—結節性紅斑から悪性リンパ腫まで

著者: 古川福実

ページ範囲:P.532 - P.535

●多くの疾患が紅斑で始まるが,他の性状の皮膚に移行し,または他の皮疹を伴ってくる.紅斑のみで終始する特別なもののみを紅斑症として挙げる傾向にあるが,アレルギー性のものから腫瘍性のものまで多彩である.
●問診上で気をつけなければならない点は,全身状態の異常の有無,薬剤の使用状況,感染症の有無,外傷の有無,経過などである.また,瘙痒,紅斑の分布・性状などのほか,体表部のみならず粘膜に異常がなかったかを聞くことも忘れてはならない点である.

黒色腫瘍—脂漏性角化症からメラノーマまで

著者: 斎田俊明

ページ範囲:P.536 - P.538

●黒色腫瘍としてみられる皮膚疾患には各種の良性,悪性腫瘍があるので,それぞれの鑑別点を整理して頭に入れておく.
●黒色腫瘍としてみられる代表的な悪性腫瘍がメラノーマと基底細胞癌であり,これらを見逃してはならない.
●脂漏性角化症と後天性色素細胞母斑(ホクロ)は黒色腫瘍として頻繁にみられる良性の病変である.

内科医へのヒント

不明熱と発疹—成人Still病からつつが虫病まで

著者: 伊藤薫

ページ範囲:P.540 - P.542

●日常よく経験する発疹性疾患でも,発熱と発疹の出現する時間的経過が典型的でない場合がある.
●目につきにくい部位の病変を見落とさないようにする.
●発熱とともに皮膚に特徴的な発疹が生ずる疾患に留意しておく.

膠原病を疑うきっかけとなる発疹—爪上皮延長から光線過敏まで

著者: 秋元幸子

ページ範囲:P.544 - P.546

●膠原病には多彩な皮膚変化が生じる.膠原病による皮膚変化を湿疹・皮膚炎などと区別し,見落とすことがないよう注意する必要がある.

Emergency Roomの皮膚科—壊死性筋膜炎からTENまで

著者: 多田讓治 ,   秋山尚範 ,   荒田次郎

ページ範囲:P.547 - P.549

●皮膚病変を的確に診断し,早急に適切な治療を開始することが,その疾患の予後に大きく影響する場合は少なくない.
●壊死性筋膜炎の治療では,早期の診断のもとに①débridement,②全身管理,③抗菌薬の大量投与に尽きる.
●中毒性表皮壊死症は薬疹の最重症型である.多形紅斑やStevens-Johnson syndromeから進展することもあり,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群との鑑別が重要である.

薬疹とウイルス感染の接点—アンピシリン疹からHIVまで

著者: 塩原哲夫

ページ範囲:P.550 - P.553

●一般に,薬疹とウイルス性発疹は鑑別すべきものと考えられているが,両者の免疫反応は酷似しており,実際には両者が密接に関与して発症する皮疹が多い.
●伝染性単核球症の際のアンピシリン疹や,様々な薬剤による過敏症候群は,その代表である.
●検査データは従来の常識に当てはまらない場合が多い.

内科医が起こす医原性皮膚疾患—消毒性皮膚潰瘍から薬剤性光線過敏症まで

著者: 錦織千佳子

ページ範囲:P.554 - P.556

●足の湿疹を足白癬と誤診し,抗真菌剤を処方して悪化させてはならない.反対に手の白癬にステロイド外用剤を塗布すると増悪する.鑑別には真菌検査が必須である.
●治りにくい傷を見たら消毒剤による接触皮膚炎を疑え.
●薬疹は必ずしも全身に生じるわけではない.非定型的な分布経過をとる薬疹には,固定薬疹,苔癬型,光線過敏型があり,思いつくことが重要である.

皮膚科医がパッチテストをするとき—接触皮膚炎から固定薬疹まで

著者: 伊藤正俊

ページ範囲:P.558 - P.561

●パッチテスト(PT)は,アレルギー性接触皮膚炎の原因を実証する唯一科学的な方法である.
●PTは薬疹の比較的早期に,しかも,原因と推定しうる薬剤を同時に検討するには優れた方法である.
●固定薬疹では皮疹部でPTを施行するが,その陽性頻度はいわれるほど高くない.

かゆみ—透析のかゆみから老人性皮膚瘙痒症のかゆみまで

著者: 宮地良樹

ページ範囲:P.562 - P.565

●透析や黄疸のかゆみは中枢性で,オピオイドペプチドがかゆみのメディエータとして神経組織に存在するモルヒネ受容体に作用することで惹起される可能性がある.
●多くの皮膚疾患のかゆみは末梢性で,かゆみの刺激が表皮・真皮接合部に存在するかゆみ受容体ともいわれる神経終末に作用し,生じたインパルスが求心性C線維により伝達され,大脳皮質に到達することでかゆみとして知覚される.
●高齢者ではドライスキンによる皮膚瘙痒症が多いが,内科疾患が介在する場合を見逃してはいけない.
●ドライスキンによる皮膚瘙痒症ではスキンケアとライフスタイルの検証が重要である.

スキンケアの理論と実際—保湿剤からサンスクリーンまで

著者: 早川律子 ,   杉浦真理子

ページ範囲:P.566 - P.568

●保湿製品には尿素,乳酸やヘパリン類似物質を配合した医薬品・OTC製剤と,油脂,セラミド,保湿成分〔グリセリン,1,3-BG(1,3-ブチレングリコール),ヒアルロン酸など〕を配合した医薬部外品・化粧品がある.
●サンスクリーン製剤には紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が配合されている.スキンタイプIIからIVの日本人にはSPF10〜15程度の紫外線防御製品が適している.

アトピービジネスの現況—内科領域でも対岸の火事ではない

著者: 竹原和彦

ページ範囲:P.569 - P.571

●医療ビジネス,健康ビジネスの代表的なものとして「アトピービジネス」が挙げられる.
●アトピービジネスの隆盛とともに,アトピー性皮膚炎をめぐる医療の混乱は大きくなってきている.
●アトピービジネス戦略は,年々巧妙なものに変化しつつある.

Common Skin Diseases—内科医の第一選択治療

内科医が使える皮膚科用薬の特徴と使い方

著者: 江藤隆史

ページ範囲:P.573 - P.577

●ステロイド外用剤は5つのランクに分類され,適切な使用が奨励される.
●非ステロイド系外用剤は,接触皮膚炎を起こしやすく,長期間使用すべきでない.
●皮膚のバリアー機能の補正には,保湿剤として有用なものがある.
●その他,抗アレルギー剤,抗ウイルス剤,抗真菌剤の概要を示した.

皮膚瘙痒症

著者: 瀧本玲子 ,   高森建二

ページ範囲:P.578 - P.579

●皮膚瘙痒症とは,皮膚に掻破により生じたと思われる掻破痕や紫斑以外にかゆみの原因となるような皮疹がないのに,かゆみのある状態をいう.しかし,皮膚が硬く触れるような苔癬化局面などを含むときはもはや皮膚瘙痒症とはいわない。
●皮膚瘙痒症には,全身の皮膚がかゆくなる汎発性皮膚瘙痒症と,外陰部など限局した部位にかゆみが生じる限局性皮膚瘙痒症がある.
●皮膚瘙痒症は内科的疾患(胆汁うっ滞性肝疾患,腎機能不全,甲状腺機能異常症,糖尿病,血液疾患,内臓悪性腫瘍など)のデルマドロームであることがあるので,基礎疾患の有無を検索する必要がある.

接触皮膚炎

著者: 中村元信

ページ範囲:P.582 - P.584

●接触皮膚炎は香粧品,装身具,植物,衣類,食物といった日常生活で用いるもののほか,歯科金属,外用剤など治療用のものでも起こり,さらに医療従事者のラテックスアレルギー,建築業者のセメント皮膚炎,農家の農薬皮膚炎など職業性の皮膚炎も含まれる.
●接触皮膚炎の原因物質の決定には貼布試験(パッチテスト)が有用である.
●接触皮膚炎の治療には,ステロイド外用剤の塗布,局所の保護などがあるが,原因物質の決定とその除去が最も重要である.

褥瘡

著者: 河合修三

ページ範囲:P.585 - P.588

●褥瘡ダイアグラムを基に,褥瘡の発生から治癒するまでの変化を把握する.
●従来の創傷治療は細菌を殺すことを目的としているのに対し,新しい創傷治療は皮膚組織を増生させることを目的としている.
●褥瘡を含めた皮膚潰瘍治療薬は,創の諸相(感染期,壊死付着期,肉芽増殖期,上皮形成期)と,患者側の再生治癒能力(栄養状態,血行状態)を考慮して決定する必要がある.

虫刺症

著者: 出光俊郎

ページ範囲:P.589 - P.591

●虫刺症の治療は基本的には,①患部の冷却,②ステロイド剤の外用,③止痒剤(抗アレルギー剤,抗ヒスタミン剤)の内服を行う.重症例ではステロイド剤の全身投与が必要である.
●虫刺部位のびらんが拡大する症例では伝染性膿痂疹の合併を考慮する.
●蚊刺過敏症患者では発熱などの全身症状と激しい局所反応に加えて,経過中に悪性リンパ腫を併発することがある.
●痒疹反応の持続する慢性化症例では内臓悪性腫瘍の検索(デルマドロームとしての痒疹反応)のほか,皮膚悪性リンパ腫との鑑別も重要である.

帯状疱疹

著者: 高橋健造

ページ範囲:P.592 - P.594

●帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの回帰感染によって生じる頻度の高い皮膚疾患で,特定の神経領域に集簇する疱疹と先行する偏側性の疼痛が特徴である.
●高齢者や基礎疾患を有する患者では重症化しがちであり,神経症状の緩和や後遺症である疱疹後神経痛の予防のためにも,迅速な診断と抗ウイルス剤による治療の開始が必要とされる.

足白癬

著者: 望月隆

ページ範囲:P.596 - P.598

●足白癬に対する外用抗真菌剤の有効率は高いが,その前提となる白癬の確定診断には苛性カリ直接鏡検法(KOH法)を行い,菌の存在を確認する必要がある.
●抗真菌剤による治療が無効な例,びらんのある趾間型足白癬や角質増殖型足白癬,爪白癬合併例で完治を希望する患者は皮膚科専門医への紹介が望まれる.

蕁麻疹

著者: 宇谷厚志

ページ範囲:P.599 - P.601

●蕁麻疹には,典型的なものと非典型的なものとがある.この両者の区別は最低限つけなければならない.
●原因検索には根気よく患者と話す必要があり,的を射た問診のみが隠された原因に行き着く道である.
●蕁麻疹には薬剤性のものが多くみられること,またアスピリン不耐症を念頭に置くべきである.

脂漏性湿疹

著者: 段野貴一郎

ページ範囲:P.602 - P.603

●脂漏部位に好発する慢性湿疹病変である.
●ステロイド外用薬またはケトコナゾールが奏効する.
●皮膚の清潔など生活指導も重要である.

痤瘡

著者: 戸田憲一

ページ範囲:P.604 - P.607

●ニキビは,脂腺の発達が著しい脂腺性毛包が多い脂漏部位を舞台とし,思春期から若年成人期に一過性に生じるPropionibacterium acnes(ニキビ菌)の感染症である.
●ニキビ治療は分泌皮脂の毛嚢内貯留により生じた丘疹のみの非炎症性痤瘡の時期とニキビ菌の増殖を契機として進行する炎症性痤瘡の時期に大別して考える.
●生活指導と外用剤を中心とした治療を第一義として,必要に応じて抗生剤の内服を短期的に処方する.
●明らかな瘢痕は患者のQOLを大きく損なうため,専門医による適切かつ時期を失することのない治療が大切である.

外来の熱傷

著者: 田村敦志

ページ範囲:P.608 - P.609

●深さに関係なく,局所の湿潤環境が保持できる外用療法を行う.
●ステロイド外用剤はI度以外の新鮮熱傷創面には禁忌である.
●深達性II度およびIII度熱傷では壊死組織が除去されるまで創傷被覆材を用いない.

皮膚病変から診断する全身性疾患

サルコイドーシス

著者: 岡本祐之

ページ範囲:P.611 - P.613

●組織学的所見を最も得やすい病変である.
●自覚症状に乏しく,微細な皮膚病変であることも多い.
●特に膝蓋,肘頭の診察は必須である.

Behçet病

著者: 溝口昌子

ページ範囲:P.614 - P.616

●結節性紅斑は,よく似た臨床症状を呈する疾患との鑑別のために必ず生検し病理学的に診断を確定する必要がある.
●結節性紅斑を生じやすい基礎疾患は,Behçet病以外にも多数あるので,他疾患を念頭に置き,臨床検査を行うべきである.
●外陰部潰瘍は激痛を伴う深い潰瘍でBehçet病特有のものである.

糖尿病

著者: 伊崎誠一

ページ範囲:P.618 - P.621

●皮膚を支える結合織すなわち真皮には血管とリンパ管が豊富に分布し,また密な神経支配を受ける.糖尿病は言うまでもなく全身病であるから,その情報が血管や神経を介して皮膚に現れやすい.糖尿病に伴う皮膚変化を正しく理解し,これをきめ細かく捉えることによって,患者の発見,早期治療,治療の評価あるいは合併症の予防に役立てることができる.

内臓悪性腫瘍

著者: 高平佳恵 ,   真鍋求 ,   出光俊郎

ページ範囲:P.622 - P.624

●日常の臨床でよくみられる皮膚症状も内臓悪性腫瘍と関連していることがある.

エイズ

著者: 石井則久 ,   杉田泰之

ページ範囲:P.626 - P.627

●エイズを含めたHIV感染者は,わが国においても性感染症(STD)の様相を帯びて急速に増加している.
●皮膚病変では特に,青壮年期の重篤な帯状疱疹,基礎疾患のない口腔カンジダ症,難治性再発性単純ヘルペス・尖圭コンジローマ・梅毒などのSTD,重症の痒疹などをみた場合にはHIV感染症を念頭に置くべきである.

鼎談

皮膚科医と内科医のクロストーク

著者: 永井良三 ,   桑名正隆 ,   宮地良樹

ページ範囲:P.629 - P.639

 宮地(司会)本日は「皮膚科医と内科医のクロストーク」ということで,内科のなかでも比較的皮膚症状にかかわることの多い循環器,膠原病をご専門とする先生方とともに,お話を進めてまいりたいと思います.
 「皮膚は内臓の鏡」という昔から言い古された言葉があります.皮膚に現れた内臓の所見を,皮膚科の言葉ではデルマドロームといいます.教科書には「こういう発疹が出たらこういう内臓の所見がある」といったことがよく書いてありますが,実際内科の先生方にとっては煙に巻かれるような話だと思うのです.そこで今日は,実際の臨床の場でのクロストークの重要性について考えてみたいと思います.

理解のための36題

ページ範囲:P.640 - P.646

カラーグラフ 病原微生物を見る・8

レジオネラ

著者: 小出道夫 ,   斎藤厚

ページ範囲:P.649 - P.651

 レジオネラはブドウ糖非発酵性の好気性グラム陰性桿菌であり(図1),自然環境および人工環境に広く分布している.しかしながら,その発見は1976年に米国Philadelphiaにおける重症肺炎の集団発生を契機としてなされ,比較的新しい歴史をもつ病原細菌である1).レジオネラ属にはLegionella PneumoPhilaをはじめとして現在43菌種が記載されている.
 臨床検体の塗沫鏡見では,グラム染色では染色されないのでヒメネス染色(Gimenez)を行う.菌体は赤色に染まるが非特異的であるので,レジオネラと断定することはできない(図2).レジオネラは通常の細菌用培地には発育しないので,チャコールを加えたBCYEα培地またはそれに抗菌薬を加えた選択培地で培養する.増殖速度は遅く,少なくともコロニー形成に3日は要する(図3).

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.655 - P.660

図解・病態のメカニズム 胃疾患・6

胃運動

著者: 三梨桂子 ,   河村修 ,   草野元康

ページ範囲:P.667 - P.673

 各種の胃・消化管疾患では,腹痛・腹部膨満感・食欲不振・悪心・嘔吐・胸焼けなどの症状をきたすことが多い.しかし上部消化管内視鏡や腹部超音波などの検査で器質的疾患が認められない場合があり,このような場合,症状の原因として消化管運動の異常も留意しなくてはならない.本稿では,特に胃運動とその測定法,また健常人と病的状態での胃運動の所見などについて述べる.

演習 胸部X線写真の読み方—肺疾患篇・6

血痰が出現した63歳の女性

著者: 松島秀和 ,   高柳昇 ,   金沢実 ,   佐藤雅史

ページ範囲:P.661 - P.665

Case
 症例:63歳,女性.主訴と経過:血痰の出現のため受診・胸部X線にて異常を指摘された.経過中発熱は認めない.既往歴に特記すべきことなし.喫煙歴:20本/日(40年間).血液ガスデータ:Po2 68Torr,Pco2 38Torr.血液検査所見:WBC 8,600/mm3,RBC 380×104/mm3,Hb 14.0mg/dl,ESR 30mm/hr,CRp 1.5mg/dl,SCC 2.8,受診時の胸部X線写真(図1)を提示する.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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