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文献詳細

雑誌文献

medicina37巻9号

2000年09月発行

文献概要

今月の主題 「考える」診断学—病歴と診察のEBM 考える診断学の実際 救急編

腫瘍による脊髄圧迫

著者: 安藤潔1

所属機関: 1東海大学医学部血液・リウマチ内科

ページ範囲:P.1492 - P.1495

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なぜ正しい診断が必要か
 脊椎や硬膜外転移腫瘍による脊髄圧迫(epidural spinal cord compression:ESCC)は悪性腫瘍患者にしばしばみられる病態であり,最も注意を要する合併症の一つである.なぜなら,ESCCにより患者はベッド上に縛り付けられ,四肢の自由を奪われ,また膀胱直腸障害をきたし,すべての活動を他人に依存し,日常生活を行えなくなる状態を急速に引き起こすからである,したがって,悪性腫瘍による生命予後のいかんにかかわりなくpatient outcomeを著しく低下させることとなる.
 また,脊髄圧迫症候群はoncologic emergencyの一つである.なぜなら早期に発見し適切な処置を施せば予後を改善することができるからである.脊髄圧迫症状による神経機能予後を決める最も重要な単一の予後因子は治療開始時の神経機能の程度であるので,なるべく早く診断し,非可逆的な神経損傷の始まる前に治療を開始することが重要である.すなわち治療開始時に麻痺のない患者では80%以上が治療で神経機能が回復するが,不全麻痺の患者では50%,対麻痺をきたしている患者では10%以下となる1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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