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雑誌目次

雑誌文献

medicina38巻1号

2001年01月発行

雑誌目次

今月の主題 抗菌薬マネジメント—細菌感染症治療の基礎と実践 これだけは知っておきたい

微生物検査室とのつきあい方

著者: 本郷俊治 ,   藤井寛之 ,   影岡武士

ページ範囲:P.6 - P.10

ポイント
 微生物検査室の技師とのコミュニケーションが大切である.したがって,一度は微生物検査室を訪問する.
 微生物検査室に目標とする菌を伝えないと検出困難な菌がある.
 一般細菌の抗菌薬感受性測定には様々な方法がある.
 抗酸菌の薬剤感受性成績の解釈は一般細菌とは異なるので,微生物検査室に問い合わせておく必要がある.

グラム染色が役立つとき・PCR法が役立つとき

著者: 山根誠久

ページ範囲:P.12 - P.14

ポイント
 本来無菌的な検体(CSF),感染に伴う検体(膿),特殊な菌種,菌群(淋菌)でグラム染色による検体の直接検鏡は診断的意義が高い.
 培養が難しい,培養に時間がかかる,緊急性が高いといった感染症に,PCRなどのプローブ検査が有効である.
 PCRなどのプローブ検査では偽陽性の発生に特に注意が必要となる.

血液培養が役立つとき

著者: 久松良和

ページ範囲:P.15 - P.17

ポイント
 血液培養で重要なことは,抗菌薬投与前に採血すること,最低2セットは提出することである.また採取手技に習熟することで,不用意なコンタミネーションを減らすことができる.
 菌血症を少しでも疑った場合には血液培養の適応と考えて,積極的に提出する姿勢が大切である.

コロナイゼーションと感染症の見分け方

著者: 青木眞

ページ範囲:P.18 - P.19

ポイント
 コロナイゼーションしている菌は量が少なくグラム染色で有意な菌として認めることが少ない.
 コロナイゼーションと感染症の差は宿主の反応の有無の違いといってもよい.感染症を起こしていれば,肺炎であれば喀痰に多数の白血球を認めるといった炎症反応を伴う.
 微生物により感染症を起こしやすい臓器と起こしにくい臓器がある.起こしにくい臓器から検出されればコロナイゼーションの可能性が高い.

抗菌薬を使いこなすための基礎知識

投与量・間隔・経路をどのように決めるか

著者: 松山賢治

ページ範囲:P.20 - P.25

 現在,数多くの抗菌薬が開発され,数百以上の市販品が臨床の場に供されている.実際の臨床使用においては,この中から,患者の起炎菌に対する感受性試験を行い,最適の薬剤を選択するとともに,選択した薬剤の血中濃度を基に,患者の薬物動態に適合する投与量,投与間隔を決定(therapeutic drug monitoring:TDM)し,適正使用がなされなければならない.
 一般に,殺菌的抗菌薬(β-ラクタム系抗菌薬)は,選択毒性も高く,1回の十分有効量の抗菌薬投与により血中濃度をMIC(minimum inhibitoryconcentration)より高い濃度に一定期間設定すると,残存菌数は減少し,再増殖する4〜6時間以内に,投与を反復すると,等比数列的に菌量を減少することができる.β-ラクタム系抗菌薬の場合は腎障害などの副作用は少ないので,TDMを行わずとも,規則正しい投与時間の遵守により,菌は陰性化できる.

抗菌薬をいつまで投与するか

著者: 中浜力

ページ範囲:P.26 - P.27

ポイント
 感染症の治癒判定は,下熱,臨床症状の改善,白血球数,CRPの正常化と患者の全身状態の改善が基準となる.
 抗菌薬投与終了の判断は,治癒判定が基準であるが,感染症の種類によっては個別に判断する必要がある.
 最近,点滴静注薬で治療を開始し,改善が認められ始めた時点で経口抗菌薬に切り替える投与方法が推奨されている.

抗菌薬変更をいつ考えるか

著者: 藤本卓司

ページ範囲:P.28 - P.30

ポイント
▶抗菌薬変更のタイミングは3つある.
▶第1に,検体提出の翌日である.培地上の集落の特徴などから臨床上重要な起炎菌の多くを推定することができる.
▶第2に,抗菌薬の効果判定時である.主訴,感染局所を反映する徴候とデータ,グラム染色像の推移が重要である.
▶第3に,培養結果の得られたときである.分離菌名に振り回されることなく,総合的に判断することが重要である.

抗菌薬併用が必要となる場合

著者: 宮良高維 ,   齋藤厚

ページ範囲:P.31 - P.33

ポイント
 抗菌薬を併用して感染症を治療する主な目的は,起炎菌不明例において抗菌スペクトラムを確保すること,起炎菌が既知であるが,相乗あるいは相加効果により治療効果を高めることにある.
 抗菌薬併用による副作用頻度の増加,拮抗作用による効果減弱の可能性も念頭に置き適応を考慮しなければならない.

特別な配慮が必要な患者への抗菌薬投与

著者: 渡辺健太郎

ページ範囲:P.35 - P.40

ポイント
 抗菌薬の選択は感染部位や起因菌に従い標準療法がほぼ確立している.一方,患者の側にも基礎疾患の違いや妊娠の有無,年齢の違いなど多くの異なる要因が存在する.ここで取り上げるトピックはそのうちのごくわずかなものである.臨床医が個々の症例に対し教科書や文献を通して一つ一つ臨床的判断や治療選択を下すプロセスの重要性をあらためて認識してほしい.

抗菌薬の予防的投与とは

著者: 大曲貴夫 ,   古川恵一

ページ範囲:P.41 - P.43

ポイント
 抗菌薬の予防的投与には,感染性心内膜炎やAIDS感染者の日和見感染の予防などを目的に行われる内科的予防投与と,手術時の創部感染の予防目的に行われる外科的予防投与とが存在する.
 抗菌薬の予防的投与の対象は,原則的にはしっかりとしたevidenceが存在する状況のみに限られるべきである.
 抗菌薬の不適正な予防的投与は,医療経済面そして新たな耐性菌出現などの感染コントロール面からも重大な問題である.

耐性菌をつくりにくい抗菌薬療法

著者: 喜舎場朝和

ページ範囲:P.44 - P.46

ポイント
 “耐性菌をつくりにくい”抗菌薬療法とは,要するに“適切な”抗菌薬療法と同義である.抗菌薬は使えば使うほど効きが悪くなるものなので,正確な診断の下に適正な抗菌薬の使用を心がけ,同時に感染防御能低下の状況があれば,その改善を図る.

教科書では学べない抗菌薬投与の心得

ペニシリン系

著者: 松村理司

ページ範囲:P.48 - P.49

ポイント
 ペニシリンGは,肺炎球菌やレンサ球菌や梅毒トレポネーマに対して,今でも最も優れた抗菌力がある.
 ペニシリン系薬がセフェム系薬に対して「弱い」抗菌薬とする誤解は,投薬量が少なすぎることによることが多い.

セファロスポリン系

著者: 砂川恵伸

ページ範囲:P.50 - P.51

ポイント
 臨床において最も使用頻度の高いセファロスポリン系の薬物動態を理解し,適切な投与量を計画,設定する.

カルバペネム系

著者: 大西健児

ページ範囲:P.52 - P.53

ポイント
 カルバペネム系抗生物質はグラム陽性菌,グラム陰性菌および嫌気性菌に強い抗菌力を示す.
 カルバペネム系抗生物質は原則として軽症の細菌感染症には使用しない.
 カルバペネム系抗生物質に耐性を示す病原細菌の分離頻度が増加している.

モノバクタム系

著者: 堀野哲也 ,   柴孝也

ページ範囲:P.54 - P.55

ポイント
 緑膿菌・セラチアなどを含むグラム陰性菌に対して広く,強い抗菌力を有する.
 好気性グラム陽性菌および嫌気性菌にはほとんど抗菌力を示さない.

アミノグリコシド系

著者: 戸塚恭一

ページ範囲:P.56 - P.57

ポイント
 アミノグリコシドを投与する際には,薬力学と薬物動態を考慮して,より有効で副作用の少ない投与法を行う.
 アミノグリコシドの濃度依存性殺菌作用や強いPAEから,1日1回投与が可能である.
 TDMを行い適正な投与量と投与間隔を設定する.

クリンダマイシン

著者: 後藤元

ページ範囲:P.58 - P.59

ポイント
 作用機序は,蛋白合成阻害で,静菌的に作用する.
 嫌気性菌感染症の治療に有用.
 嚥下性肺炎,肺膿瘍,膿胸が主な対象疾患.
 第3世代セフェムと併用されることが多い.

メトロニダゾール

著者: 武田裕子

ページ範囲:P.60 - P.61

ポイント
 メトロニダゾールは嫌気性菌に対して優れた抗菌作用を有する.
 特に,Bacteroides fragilisによる腹腔内感染症の治療に有効.
 偽膜性腸炎の治療では,VRE出現を抑制するためにも経口バンコマイシンを避けてメトロニダゾールを用いるべきであるが,現時点では保険外適用となる.
 偽膜性腸炎治療にメトロニダゾールを用いると,効果は経口バンコマイシンと同等で費用は1/100となる.

ニューキノロン系

著者: 二木芳人

ページ範囲:P.62 - P.63

ポイント
 ニューキノロン系薬の使用に際して最も注意するべきことは,9種類の薬剤特性を区別し,症例や疾患に応じて適正に使い分けることである,さらに安全性についても十分な配慮が必要である.また,より効果的に使うためには,投与法や投与量の工夫も求められる.

テトラサイクリン系

著者: 岸本寿男 ,   小川基彦 ,   志賀定祠

ページ範囲:P.64 - P.65

ポイント
 テトラサイクリン系薬(TC系薬)が第一選択となる感染症はマイコプラズマ,クラミジア,リケッチアによるもののほか,ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌やコレラなどが代表的であり,重要な薬剤である.
 わが国での使用は,ミノサイクリンとドキシサイクリンにほぼ限られている.
 妊婦には胎児の骨形成不全が,新生児・幼小児では,歯牙着色,エナメル質形成不全の副作用のため禁忌である.

マクロライド系

著者: 宮坂洋二 ,   山口哲生

ページ範囲:P.66 - P.68

ポイント
 マクロライドはマイコプラズマやクラミジアなどの非定型病原菌を始め,市中感染症の広い範囲に有効である.
 重篤な副作用は少ないが,併用薬には注意が必要である.
 抗菌作用だけでなく,抗炎症作用などの効果も知られている.

バンコマイシン

著者: 佐竹幸子

ページ範囲:P.70 - P.71

ポイント
 バンコマイシンの適応を慎重に検討する.β-ラクタム剤耐性グラム陽性菌による重症感染症,β-ラクタム剤にアレルギーのある患者,偽膜性大腸炎(条件つき),心内膜炎の危険性が高い患者や外科手術患者に対する予防投与(条件つき)が適正使用であるとされている.

ST合剤

著者: 齋藤昭彦

ページ範囲:P.72 - P.73

ポイント
 ST合剤は,葉酸合成を2重に阻害し,幅広い抗菌作用をもつ.
 耐性菌の出現が問題となっており,使用に際し感受性を確認する必要がある.
 副作用の頻度が高く,また稀ではあるが,重篤な副作用を引き起こすことがある.
 カリニ肺炎の予防・治療に重要な薬である.

内科外来・病棟でよく遭遇する感染症へのアプローチ

呼吸器感染症

著者: 大塚盛男

ページ範囲:P.74 - P.76

ポイント
 呼吸器感染症は,ウイルス,マイコプラズマ,クラミジアなど種々の病原微生物が原因となるが,細菌感染症の場合は,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリスが原因菌になることが多い.治療は,原因菌の種類,患者の年齢,基礎疾患の有無やその状態,感染症の重症度などを考慮して選択する必要がある.

感染性心内膜炎(急性・亜急性)

著者: 玉野宏一 ,   植竹修一郎

ページ範囲:P.77 - P.79

ポイント
 感染性心内膜炎の診断はDuke criteriaを用いる.
 感染性心内膜炎の主な起炎菌は緑色レンサ球菌,腸球菌,ブドウ球菌,HACEKグループである.
 抗菌薬の選択には血液培養による起炎菌の同定が必要である.
 抗菌薬の投与法はAmerican Heart Association(AHA)の勧告に従う.

消化管感染症

著者: 申貞雄

ページ範囲:P.80 - P.84

ポイント
 確かな病歴と身体所見をしっかりととることが基本である.
 便培養などの検索や抗菌薬の適用を見きわめ,無駄な検査や無益な治療をしないこと.
 消化管感染症の治療の基本は水分と電解質の補給である.
 培養結果が判明する前は患者の状態や基礎疾患で,判明した後は患者の状態と検出された病原菌で抗菌薬の投与を考慮する.

尿路感染症

著者: 松本哲朗

ページ範囲:P.86 - P.88

ポイント
 単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症の鑑別が重要.
 単純性膀胱炎では,ニューキノロン系薬の3日間投与が基本.
 単純性腎盂腎炎では,アミノ配糖体薬とニューキノロン系の治療が勧められる.
 複雑性尿路感染症では,尿路異常の把握と治療が最も重要.

性感染症(STD)

著者: 田中正利

ページ範囲:P.89 - P.91

ポイント
 オーラルセックスによる淋菌性尿道炎が増加している.淋菌とクラミジアの混合感染があることに注意する.淋菌性尿道炎に対しては経口薬を連続投与するより,注射薬の単回療法が望ましい.クラミジア性尿道炎に対してはテトラサイクリン系薬,マクロライド系薬,ニューキノロン系薬を使用する.症状がなくてもセックスパートナーの検査,治療を行うことが重要である.

皮膚・軟部組織感染症

著者: 新城憲

ページ範囲:P.92 - P.94

ポイント
 皮膚・軟部組織感染症は,その臨床像を正確に把握することが迅速な診断と治療につながる.
 免疫能の低下した患者では重篤な感染症をきたすことがあり,初期の局所症状を的確に捉え,速やかな外科的処置と適切な抗菌薬の選択が予後を左右する.
 褥瘡のケアは創の状態に応じた薬剤,被覆材の選択が肝要である.

骨・関節感染症

著者: 仲田和正

ページ範囲:P.95 - P.97

ポイント
 化膿性膝関節炎,小児化膿性股関節炎の診断と治療法
 人工関節術後感染,骨髄炎の治療法

髄膜炎

著者: 志水祥介 ,   大生定義

ページ範囲:P.98 - P.100

ポイント
 細菌性髄膜炎は治療が遅れると重篤な後遺症を生じたり,死亡することもありneurological emergencyの認識が必要である.
 起炎菌は年齢,背景因子(手術後・外傷後,免疫不全など)により分布が異なる.
 抗菌薬は起炎菌不明の際にempiric therapyとしてアンピシリン+セフォタキシムの組み合わせが良い.

不明熱

著者: 松村理司

ページ範囲:P.101 - P.103

ポイント
 不明熱の定義や疾病構成に大きな変化はない.ごく稀な疾患は少なく,比較的ありふれた疾患が非定型的病像を示す場合が多い.
 大半の症例が何らかの侵襲的検査を受けているし,画像診断技術も向上し続けてはいるが,病歴と身体診察およびルチン検査の意義は少しも減少していない.
 治療はできるだけ控える.まして,不明熱=感染症→(広域)抗菌薬の使用と短絡してはならない.

好中球数減少時の発熱のマネジメント

著者: 佐藤博子 ,   森澤雄司

ページ範囲:P.105 - P.109

ポイント
 好中球数減少時の発熱は,悪性腫瘍の診療における主要な緊急症の一つである.
 好中球数減少時には局所所見に乏しい場合が少なくない.
 血液培養検査は必ず2セット以上を採取する.
 好中球数減少時の発熱では,培養検査の結果を待つことなく,起因菌を想定しつつ,広域スペクトラムで殺菌的な抗生物質による治療を開始する.
 臨床像を経時的に把握して治療方針を頻回に再検討する.

敗血症

著者: 武田多一

ページ範囲:P.110 - P.112

ポイント
 敗血症とは,感染症によって全身性炎症反応(SIRS)を呈している状態を指す.
 敗血症の診療では,原因となった感染症の治療とともに,全身の臓器障害に対する治療も必要である.
 感染症に対する直接の治療として,膿瘍の切開穿刺ドレナージなどの感染局所に対する治療と,抗菌薬の全身投与が行われる.
 臓器障害に至る合併症を防ぎ全身状態を改善させることで,敗血症の予後の改善が期待される.

院内感染症の代表的な起因菌とその治療法—MRSA,緑膿菌,ほか

著者: 源河いくみ

ページ範囲:P.113 - P.115

ポイント
 院内感染で問題となる菌は多剤耐性菌が多いが,すべてが感染を起こしているわけではない.コロナイゼーションしているだけの場合は治療の対象とはならない.
 治療は抗菌薬の投与と同時にカテーテルの抜去,ドレナージなどの感染巣のコントロールも重要である.
 院内感染を増やさないためのスタンダードプリコーションの実行や抗菌薬の適正使用が重要である.

稀だが一刻を争う細菌感染症

著者: 清水可方

ページ範囲:P.116 - P.117

ポイント
 外毒素が関与する菌による敗血症性ショックはグラム陽性菌(黄色ブドウ球菌,連鎖球菌,肺炎球菌)およびグラム陰性菌(Vibrio属)の両者で発症する.症例の多くはcompromisedhostで,突発的に発症することが多い.起炎菌の早期同定には検体のグラム染色下検鏡および凝集反応が必須である.

理解のための35題

ページ範囲:P.121 - P.128

演習 心電図の読み方・3

QRSの異常(2)—時計軸回転,R波増高不良,右側胸部誘導の小さいR波

著者: 近森大志郎 ,   山科章

ページ範囲:P.137 - P.141

 Case
 症例:51歳,女性.会社の健康診断で高血圧を指摘され来院.
 既往歴,現病歴,身体所見:血圧172/110mmHg以外に特記すべきことなし.

図解・病態のメカニズム—呼吸器疾患・3

気管支喘息

著者: 福田健

ページ範囲:P.130 - P.134

はじめに
 気管支喘息は発作性の呼吸困難,喘鳴を特徴とする疾患であり,気道の広範な閉塞によって起こる.気道は種々の刺激に対して反応性が高まった状態にある(気道過敏性).病理学的には,気管支粘膜への好酸球,Tリンパ球浸潤,気道粘膜上皮の剥離を主所見とした炎症が特徴的であり,この炎症は気道過敏性,気道閉塞の一因になっている(図1)1, 2).慢性患者では,気道上皮下基底膜の肥厚でみられるような器質的な変化,すなわち気道壁リモデリングが起こっており,気道閉塞は部分的に非可逆的となる.患者の2/3は室内塵,ブタクサ花粉など何らかの環境アレルゲンに対するIgE抗体をもち,これらの病因アレルゲンに曝露されると喘息発作が起こる.一般人口での喘息の有病率は3%前後である.

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.143 - P.149

カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・1

食道—正常内視鏡像

著者: 島田英雄

ページ範囲:P.150 - P.153

食道正常粘膜の内視鏡所見
 食道粘膜の正常所見をよく理解しておくことは,異常所見の指摘には不可欠である.正常食道粘膜は平滑で光沢と透明感がある.色調からすると乳白色調であり,上皮下に細い樹枝状の血管網が透見される.血管網は食道の上端(食道入口部)と下端(食道胃接合部)では特徴的な縦走する柵状の血管走行を呈する.蠕動収縮に伴う形態の変化では,縦走ひだと横走ひだからなる特徴的な“畳目模様”が観察される.異常所見とすべきわずかな変化として,①粘膜の混濁所見やざらつき,白色調のわずかな隆起,②発赤斑やわずかな陥凹や隆起に伴う発赤所見,③毛細血管網の変化として,正常血管網の消失や断裂,口径の不整などの様々な所見が挙げられる.

新薬情報・7

ラミブジン(ゼフィックス®

著者: 越前宏俊

ページ範囲:P.155 - P.157

 適応■慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染者で,HBV-DNA,DNAポリメラーゼ,HBe抗原陽性などでウイルス増殖が活発な患者.
 剤型■ラミブジン100mgを含む錠剤.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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