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雑誌目次

雑誌文献

medicina38巻10号

2001年10月発行

雑誌目次

今月の主題 新しい概念に基づいた慢性心不全診療

理解のための29題

ページ範囲:P.1742 - P.1747

慢性心不全診療のnew paradigm

心不全の新しい概念

著者: 堀正二 ,   山本一博

ページ範囲:P.1614 - P.1615

ポイント
 心不全とは,単なるポンプ失調ではない.
 心不全は先天的および後天的因子の複合的な影響の結果であり,単一の病態ではない.

心不全治療のめざすもの—予後の改善か? QOL改善か?

著者: 百村伸一

ページ範囲:P.1617 - P.1623

ポイント
 予後改善作用とQOL改善作用は必ずしも一致しない.
 経口強心薬は短期的にはQOLを改善する.
 QOL改善のための治療肢選択においては,患者の身体的側面のみならず社会的背景,情緒面も考慮する.

心不全診療のガイドライン

著者: 矢野雅文 ,   松崎益徳

ページ範囲:P.1624 - P.1626

ポイント
 わが国では,欧米と異なり心不全患者の死亡率が比較的低く,原因疾患としては80%以上が非虚血性の心筋症である.
 機能不全の主体が収縮機能不全か拡張機能不全かによって治療戦略が大きく異なる.
 ACE阻害薬は,無症候性の患者も含め左室収縮機能不全を有するすべての患者に有効と考えられ,左室収縮機能不全に対する第一選択薬である.

慢性心不全の臨床疫学

慢性心不全の予後とその予測

著者: 磯部光章

ページ範囲:P.1627 - P.1629

ポイント
 重症心不全の予後は不良であり,1年生存率は30〜40%である.
 冠動脈疾患による心不全患者ではそれ以外の原因による心不全より予後が不良である.
 運動耐用能,左室駆出率,血漿BNP値は予後を反映する指標として臨床的に有用である.

大規模臨床研究と日常診療

著者: 山崎力 ,   林同文

ページ範囲:P.1630 - P.1632

ポイント
 ACE阻害薬は,慢性心不全患者の予後,QOLいずれも改善する.
 ACE阻害薬を服用している慢性心不全患者において,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の上乗せ効果が期待できる.
 スピロノラクトンにも慢性心不全患者の予後改蓄効果が認められる.

診断—検査の使い分けと評価

慢性心不全の診断と評価

著者: 寺岡邦彦 ,   山科章

ページ範囲:P.1633 - P.1635

ポイント
 慢性心不全の診断と評価においては,詳細な問診,身体所見,胸部X線検査を行う.
 心不全の重症度判定に,血漿BNP測定は重要である.
 心エコー・ドプラ法,RI心プールシンチグラム法,心臓カテーテル法により,収縮障害,拡張障害を同時に評価する.
 慢性心不全に伴う末梢循環障害を評価する.
 運動能力の評価は,動的運動負荷試験,6分間歩行試験,身体活動能力質問表を用いる.

心不全と鑑別すべき病態

著者: 平山篤志 ,   児玉和久

ページ範囲:P.1636 - P.1638

ポイント
▶心不全は,非特異的な症状と特異性の少ない理学的所見を呈する臨床兆候であることから,原因としての心疾患の有無を正確に把握すること,さらには病態を明らかにすることが重要である.急性心不全と類似した臨床像を呈する疾患である,急性心原性肺水腫と急性呼吸促迫性症候群,あるいは心拍出量減少性ショックと全末梢血管抵抗低下性ショックを鑑別することが重要である.

慢性心不全における血液生化学的検査—どこまで評価できるか? 何をチェックすべきか?

著者: 清野精彦

ページ範囲:P.1639 - P.1641

ポイント
 神経内分泌因子(交感神経系,RAAS系,BNPなど)の測定が有用.
 ongoing myocardlal damageの検出とその評価が注目される.

慢性心不全の重症度とQOL評価法

著者: 諸岡成徳

ページ範囲:P.1642 - P.1644

ポイント
 慢性心不全の重症度は,心臓ポンプ機能低下と症候群として日常生活制限から判定される.
 ポンプ機能低下の判定の指標には左室駆出分画があり,運動能力からはpeak VO2やATがある.ただ最大強度の運動は日常生活では少ないので,6分間歩行試験で日常労作について判定される.
 症候群としてはNYHA分類が基準となる判定法である.
 QOLの基準となる判定法はないが,Minnesota Living with Heart Failure Questionnaireなどが使われる.

心エコー評価法の進歩

著者: 山本一博 ,   増山理

ページ範囲:P.1645 - P.1647

ポイント
 左室肥大と左室壁厚増大は,必ずしもイコールではない.
 左室駆出率が正常であっても,心不全である可能性はある.

核医学検査の有用性

著者: 梶谷定志

ページ範囲:P.1649 - P.1652

ポイント
 慢性心不全の予後は心交感神経機能障害と密接に関連する.
 心交感神経機能はMIBGにより簡便に定量評価できる.
 心筋線維化の程度は血流シンチの欠損量で推測できる.

血行動態データをどう読むか

著者: 安村良男

ページ範囲:P.1654 - P.1656

ポイント
 急性心不全の大きな治療目標の一つは,心機能曲線を参考として血行動態の改善をめざすことである.
 右心カテーテル検査は心不全の病態の把握や治療方針の決定,および効果判定に利用される.
 左室圧波型により左室の拡張特性を類推できる.

治療の最前線

慢性心不全治療のオプティマイゼーション

著者: 川名正敏

ページ範囲:P.1658 - P.1661

ポイント
 心不全治療の目的は,QOLの改善および予後の改善である.
 大規模臨床試験の結果を根拠としつつも,患者の特性を十分に考慮して適用することが重要である.

無症状の心機能不全をどう扱うか?

著者: 岡本洋

ページ範囲:P.1662 - P.1664

ポイント
 心機能低下が高度でも,必ずしも心不全症状を呈するとは限らない.
 心機能障害自体,生命予後,心不全による入院,心不全進展の独立した指標であり,無症状であっても,早期に対応を図る必要がある.
 治療戦略は,禁煙,肥満の解除,高脂血症や高血圧の是正など心不全の危険因子,増悪因子を除去することが基本で,心不全の発症,進展存防を目的にACE阻害薬投与が推奨される.

心不全における一般療法の重要性

著者: 前原和平

ページ範囲:P.1665 - P.1666

ポイント
 過度の身体活動や食塩の過剰摂取など,患者の日常生活における要因が慢性心不全増悪因子のなかで最も頻度が高い.
 自己管理の不良は,患者が治療に不従順であることのほか,医師の説明不足による理解の不足が原因であることが少なくない.
 安静を保ち続けるのではなく,患者の運動能力に応じた運動・労作を積極的に行うべきである.

急性増悪時の対応

著者: 廣岡慶治 ,   是恒之宏

ページ範囲:P.1667 - P.1669

ポイント
 慢性心不全の急性増悪時には,増悪因子が何かを評価することが大切である.
 利尿薬は単回静注投与のみでは効果が薄いことも多く,持続投与も積極的に考慮する.
 ドブタミンに反応不良あるいは投与中に悪化する例では,ホスホジエステラーゼ阻害薬が有効である.
 カルペリチドは血管拡張作用,利尿作用のみではなく,直接的な心筋保護効果により生命予後改善が期待される.

レニン—アンジオテンシン—アルドステロン系阻害薬の使い方

著者: 蔦本尚慶 ,   木之下正彦

ページ範囲:P.1671 - P.1673

ポイント
 ACE阻害薬は心不全治療薬として確立されたが,予後の改善はまだ十分とはいえない.
 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は,現時点ではACE阻害薬で忍容性の悪い症例に推奨される.
 重症患者においてACE阻害薬,ループ利尿薬などの標準治療にスピロノラクトンの併用で心不全死,突然死が改善する.

β遮断薬療法の実際

著者: 高橋寿由樹 ,   吉川勉

ページ範囲:P.1674 - P.1676

ポイント
 大規模臨床試験の結果,β遮断薬は軽症〜重症の慢性心不全に対して生命予後を改善することが明らかになった.
 ACE阻害薬,利尿薬,ジギタリスによる標準的治療をすでに受け,安定化した心不全に対して適応を考慮する.投与量は少量から開始し,徐々に増量していく.
 導入困難例への対応策の一つとして,カルシウム感受性増強薬などの強心薬を一時的に併用してもよい.

心不全に伴う不整脈の対処

著者: 鈴木雄介 ,   三田村秀雄

ページ範囲:P.1678 - P.1680

ポイント
 心不全に併発するAF,心室性不整脈の頻度は高い.
 抗不整脈薬であるNaチャネル遮断薬は,突然死を減らさず,逆に催不整脈作用により死亡率を高めることがある.
 アミオダロンは心室性不整脈の減少と心機能の改善を示し,特に非虚血性心筋症では死亡率を低下させる傾向を示す.
 ICDがアミオダロンなどの抗不整脈薬より優れた予後改善効果をもつことが大規模臨床試験により示されている.

心不全における抗凝固療法

著者: 西村敬史

ページ範囲:P.1682 - P.1686

ポイント
 血栓塞栓症の既往または心房細動をもつ心不全患者に対しては,禁忌がない限り抗凝固療法が勧められる.また心不全を伴う急性心筋梗塞に対しても抗凝固療法が勧められる.
 心不全患者において血栓塞栓症のリスクと関連があると思われるものは,他に心不全重症度,運動耐容能,左室駆出率,年齢,糖尿病などが挙げられるが,抗凝固療法の有効性については一致していない.
 心不全の原因疾患として虚血性心疾患の割合が多い欧米では,抗凝固療法が心不全患者の生命予後を改善したとする信頼すべき報告がみられるが,これらは主に心血管死を減少させたものであり,抗凝固療法が虚血性心疾患自体の予後を改善した結果とも考えられる.したがって,心不全の原因として非虚血性心疾患の割合が多いわが国においても同様の結果が得られるかどうかは不明である.

QOL改善をめざした運動処方

著者: 小池朗 ,   伊東春樹

ページ範囲:P.1687 - P.1689

ポイント
 心不全患者の生命予後を最も規定しているのは運動耐容能である.最近の研究により,運動療法が心不全患者の運動能,QOL,生命予後を改善することが明らかになった.心不全患者の個々の運動耐容能に応じた適切な運動療法は心不全に対する治療法の一つとして,今後さらに認識が高まるものと考えられる.

心不全の外科治療—左室縮小術を中心に

著者: 堀井泰浩 ,   須磨久善 ,   磯村正

ページ範囲:P.1690 - P.1692

ポイント
 内科治療が限界に達した末期的心不全症例は,補助人工心臓(VAD)および心移植が適応となるものの,VAD装着には限界があり,心臓移植は再開されたが,ドナー心は不足しており,自己心修復治療が見直されている.僧帽弁手術・左室内パッチ形成術(Dor手術)および左室縮小形成術(Batista手術)につき解説する.

個々の病態への対応

心筋梗塞後の心機能不全

著者: 坂本知浩 ,   小川久雄

ページ範囲:P.1694 - P.1697

ポイント
 心筋虚血が存在する左心機能不全例では,血行再建の適応の有無を確認するため積極的に冠動脈造影を施行する.
 ACE阻害薬は心筋梗塞発症後24時間以内に投与を開始し,左心機能不全症例では可及的長期の投与継続を行う.
 β遮断薬は心筋梗塞急性期では発症後12時間以内に投与を開始する.慢性期の重症左心機能不全例に投与を開始する場合は,少量より漸増していく必要がある.

高齢者心不全治療のポイント

著者: 宮本浩光 ,   中浦宏幸 ,   今泉勉

ページ範囲:P.1698 - P.1700

ポイント
 高齢者では正確な病歴を聴取しにくく,心不全症状では非典型的な場合も多い.
 基礎疾患としては虚血性心臓病,高血圧性心臓病,弁膜症が挙げられるが,先天性心疾患や心疾患以外の因子も重要である.
 誘因は呼吸器感染症が多いが,内服コンプライアンス不良や医原性(薬剤性,過剰輸液など)も少なくない.
 薬物治療に際しては少量から投与を開始し,副作用の出現に注意する.

睡眠時無呼吸と心不全

著者: 麻野井英次

ページ範囲:P.1702 - P.1703

ポイント
 慢性心不全患者の約30〜50%に睡眠時無呼吸が認められ,その約8割が中枢型無呼吸である.
 睡眠時無呼吸は繰り返す低酸素血症による交感神経活動の亢進,睡眠の分断,心臓への過負荷を介して心不全を増悪させている可能性がある.
 治療には夜間の持続陽圧呼吸,酸素吸入,炭酸ガス感受性の抑制など種々の方法が試みられている.

腎機能障害を伴う心不全

著者: 下重晋也 ,   土橋和文 ,   島本和明

ページ範囲:P.1704 - P.1707

ポイント
 腎機能障害は心不全の増悪因子であるのに加え,末期腎不全患者では尿毒性心筋症,心臓血管系石灰化合併症,腎性貧血などが心不全の原因となりうる.体液・電解質の管理が主体となるが,循環器用薬の使用法が異なり,症例に応じた治療法の選択が肝要である.また透析療法導入時期について熟知する必要がある.

収縮機能正常の心不全

著者: 後藤葉一

ページ範囲:P.1708 - P.1710

ポイント
 左室収縮機能が正常であるにもかかわらず,心不全徴候を示す患者群が存在することが知られ,これは左室拡張不全による心不全(拡張期心不全)と考えられている.拡張期心不全では,診断および治療が収縮期心不全とは異なる点に注意が必要である.

右心不全

著者: 田中浩史 ,   半田俊之介

ページ範囲:P.1711 - P.1713

ポイント
 右心不全は,右室の収縮および拡張機能障害による病態で,静脈圧の上昇と心拍出量の低下による症候群である.
 右心のポンプ機能,すなわち収縮性,前負荷,後負荷にかかわる病因により発症する.
 右心ポンプ機能の回復を図ることにより,症候の軽減をみる.しかし強心薬の投与は慎重でなければならない.

弁膜症に伴う心不全

著者: 赤石誠

ページ範囲:P.1714 - P.1717

ポイント
 心不全という診断名は頻繁に使用されている.しかし,多くの臨床医は,心不全を心室不全と理解している.「左室駆出率40%未満の心不全」という表現に,あまり抵抗がないのは,その証拠である.心エコー図で左室壁運動が良好であれば,心不全がないと考えてしまっている.
 心不全をきたす重要な原因の一つに弁不全がある.弁膜症による心不全は,弁機能が障害されて生じる.よって,弁膜症の病態を正しく把握することが重要である.

薬物と心不全

著者: 倉林正彦

ページ範囲:P.1718 - P.1721

ポイント
 アドリアマイシンは用量依存性に心筋障害を起こす.
 アドリアマイシン心筋症の早期診断には,血清中のナトリウム利尿ペプチドやトロポニンTの測定が有用である.
 抗酸化剤や鉄キレート剤の効果は,はっきり結論が出ていない.

心不全患者における非心臓外科手術

著者: 西山信一郎

ページ範囲:P.1723 - P.1725

ポイント
 心不全は非心臓手術における危険因子である.心不全患者の術前評価で重要なのは,患者の心機能,活動能力と非心臓手術の侵襲の大きさである.左室駆出率が35%以下では周術期のリスクが高い.活動能力が低下した(4METs未満)心不全症例の多くは虚血性心疾患であり,術前に運動ないし薬物負荷検査,さらには冠動脈造影にてリスク評価を行う.

座談会

「慢性心不全治療ガイドライン」をめぐって

著者: 後藤葉一 ,   山科章 ,   久津見恭典 ,   百村伸一

ページ範囲:P.1726 - P.1738

 百村(司会)今日は先生方お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます.
 後藤先生は,菅弘之先生(国立循環器病センター研究所)のところでEmax,あるいは心機能の研究をされて多くの業績を挙げられ,今はかなり臨床にも関与されています.山科先生は聖路加国際病院で長年,臨床をされていて,今は東京医科大学第2内科の教授として,臨床・教育の両面で活躍されています.久津見先生は虎の門病院での研修の後,福井で循環器専門のクリニックを開設されました.クリニックではPTCA(経皮経管冠動脈形成術)までされるという,かなり専門的な実地医療をされています.本日は,それぞれの立場からご意見をいただきたいと思います.

演習 心電図の読み方・12

急性心筋梗塞

著者: 田中信大 ,   山科章

ページ範囲:P.1753 - P.1760

Case
 症例:50歳,男性.
 主訴:持続する胸痛.
 経過:仕事中(軽労作),急に胸痛が出現し,持続するため近医受診した.受診時の心電図を示す.

プライマリケアにおけるShared Care—尿失禁患者のマネジメント・1【新連載】

尿失禁におけるshared careについて

著者: 福井準之助

ページ範囲:P.1761 - P.1767

尿失禁におけるshared careの必要性とその背景
 65歳以上を高齢者とすると,1950年のわが国における人口の高齢化率が4.9%であったのに対し,2000年では17.2%とこの50年間に著しい上昇を示し,2050年には32.3%(現在の東京の人口に匹敵)にまで高齢化率が進行すると予想されている.わが国において,このような人類がかつて経験したことのない高齢化社会を迎え,高齢者の三大症候(痴呆,失禁,転倒からの寝たきり状態)の一つである尿失禁の増加は,避けることができなくなった.排泄は飲食と同様に日常生活を営むうえでの基本的な行為であり,この障害によって患者が被るQOLの低下は計り知れない.また,尿失禁は直接生命を脅かす症状・症候ではないが,上述したように患者や介護者が日常生活においてQOLを著しく損なうために,可能な限り早期に対応する必要がある.
 QOLに代わって「生活の質を考慮に入れて調節した生存率(quality adjusted life year:QALY)」が,QOLの程度と時間経過から計算できる指標として用いられるようになり,疾病の予防や治療の効果を客観的に判断する指標として役立っている.

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.1769 - P.1774

カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・10

早期胃癌

著者: 浜田勉 ,   近藤健司 ,   斉藤聡

ページ範囲:P.1775 - P.1779

 わが国において胃癌の発生頻度は高く,癌死のなかでは肺癌に次いで高い〔人口10万人対40.5人(厚生の指標—国民衛生の動向2000年第47巻9号)〕.このため,胃癌の早期発見が最重要項目として掲げられ,スクリーニング検査は職場検診,住民検診,人間ドックなどで実施されている.検診(多くの場合,X線検査)で何らかの異常を指摘されたり,軽度の悪心や腹痛などの症状がある50歳台以上の患者では,まず内視鏡検査を行うことが早期胃癌を診断する第一歩である.

今求められる説明義務・7

意思決定の代行・遺族への説明

著者: 古川俊治

ページ範囲:P.1782 - P.1785

意思決定の代行
 有効なインフォームド・コンセントに必要な患者の同意能力の前提として,①医師の説明の理解,②自己の病状の理解,③自己の価値観に基づく説明や現状の評価・検討と,下そうとする決定の意味の理解,④診療行為の実施・不実施についての自己の価値観に基づく理性的な決定,を相当程度になしうる能力が要求される1).患者が同意能力を欠く場合,意思決定の代行が問題となる.患者の同意能力の有無は,個別具体的に判断すべきである.個々人によって精神的能力は異なるし,疾患や診療行為の種類により必要な理解力・判断力は異なる.また,同一の個人であっても,その状態や周囲の状況によって同意能力は左右される.

新薬情報・15

トラスツズマブ(Herceptin®注射用150)

著者: 越前宏俊

ページ範囲:P.1786 - P.1788

適応■転移性乳癌で腫瘍細胞にヒト上皮成長因子受容体(human epidermal growth factor receptor type2:HER2)が過剰発現している患者.
剤型■トラスツズマブ(遺伝子組み換え)150mgを含む注射用バイアルと溶解液(注射用水7.2ml)および希釈液生理食塩水(250ml)

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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