文献詳細
WIDE SCOPE
文献概要
肺の高分解能CT(HRCT)は,今では肺疾患の重要な形態診断法として世界中で用いられているが,実はこの方法が,日本の京都で始まったということは知らない方が多いと思う.別に誰が最初に始めたか自体は大して重要ではないが,そのアイデアを思いついた先輩から聞いた話は非常に興味深くて,今もよく覚えている.
CTが臨床に登場し,頭部ばかりでなく体部にも応用が始まった1980年頃,まだ1スキャンに10秒近くかかっていて,胸部のCTにおいては縦隔病変の評価が中心であった.肺野のCTは単純X線写真で肺血管がよく見えるという事情もあって,それほど有用と思われていなかった時代だったと思う.当時,京都で胸部のCTを担当していた私の先輩が,何とか肺野の画質が良くならないかと考えていたときに,CTメーカーが頭部CTの特別ソフトとして,側頭骨の中の内耳構造をよく観察できる“bone algorithm”を大学にもってきたそうである.売り文句は“空気と骨というコントラストの高い構造を明瞭に描出する”.
CTが臨床に登場し,頭部ばかりでなく体部にも応用が始まった1980年頃,まだ1スキャンに10秒近くかかっていて,胸部のCTにおいては縦隔病変の評価が中心であった.肺野のCTは単純X線写真で肺血管がよく見えるという事情もあって,それほど有用と思われていなかった時代だったと思う.当時,京都で胸部のCTを担当していた私の先輩が,何とか肺野の画質が良くならないかと考えていたときに,CTメーカーが頭部CTの特別ソフトとして,側頭骨の中の内耳構造をよく観察できる“bone algorithm”を大学にもってきたそうである.売り文句は“空気と骨というコントラストの高い構造を明瞭に描出する”.
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