文献詳細
WIDE SCOPE
文献概要
CT,MRIでの肝腫瘤性病変の画像をまぶたを閉じてイメージできればしめたもので,画像診断レポートを書くのにも自信が湧くものである.ところで長らくこの仕事に従事していて,なぜこんなに差異があるものかと認識を新たにすることが時にある.最近,肝内胆管癌の病理と画像を対比して気づいたのもその一つである.肝内胆管癌の画像をイメージすると,周辺にenhanceを受ける病変があり,内部は早期にはenhanceを受けず,時間の経過とともに内部がenhanceを受ける.周辺に肝内胆管の拡張があれば決定的だが,ない場合もある.門脈血流を途絶させることが多く,区域濃染をみることが多いなどである.病理をみると周囲に腫瘍増殖を認め,その内側には肉芽様の結合織,さらにその内部に硝子化した(古い)結合織がみられ,腫瘍細胞はこれら結合織内に周辺と比べて粗に存在する.この病理像は肝細胞癌とは全く逆の配列である.成熟した肝細胞癌では中央に腫瘍が存在し,その周囲に偽被膜(結合織)が存在する.偽被膜は腫瘍側が時に硝子化し,肝側が肉芽様となっている.違いを説明できなくとも別に診断レポートに関係ないのだが,何かもっともらしい理由があってもよいのではと思う.
掲載誌情報