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増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント 腹部 各論
腎・尿管・膀胱
著者: 藤善史人1 福倉良彦1 井上裕喜1
所属機関: 1鹿児島大学医学部放射線科
ページ範囲:P.272 - P.280
文献購入ページに移動正常解剖(図1,2)
腎臓は,腎周囲腔の豊富な脂肪組織により取り囲まれており,境界明瞭な楕円形の構造物として,CTやMRIで容易に同定できる.通常,肝臓の存在のために,右腎は左腎よりも下方に位置する.腎門部は前内側を向くことが多いが,しばしば軽度の回転異常が存在する.腎静脈は腎動脈の前方に位置し,腎動脈より太い.左腎静脈は右と比べて長く,大動脈の腹側を横走し下大静脈に流入する.一方,右腎静脈は下大静脈に鋭角に流入するため,帯状もしくは類円形に描出される.腎動脈は上腸間膜動脈のすぐ下方で大動脈より分岐し,左腎動脈は左腎静脈の,右腎動脈は下大静脈の背側を走行する.
単純CTでは,腎実質の吸収値は肝臓や脾臓よりやや低く,全体に均一であり皮質と髄質の区別はできない.造影の早期相では,皮質のみが濃染されるために皮質髄質境界を観察できる.腎孟腎杯系は,単純CTで水に近い吸収値であるが,造影の後期相では造影剤が排泄され,著明な高吸収値となる.
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