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WIDE SCOPE
失敗談
著者: 江原茂1
所属機関: 1岩手医科大学放射線科
ページ範囲:P.353 - P.353
文献購入ページに移動 画像診断は客観的な情報を提供し,信頼性と再現性が高いといわれる.しかし,肺炎の初期と吸収期の像が同様の所見を呈することがあるように,同じ画像でも解釈は一様でないことがある.仕事をする限りミスを犯す危険から免れ得ないわけだが,リスクとの付き合い方を知ることも21世紀の医療人には必要な素養かもしれない.過去20年ほどは診断技術の発展の時期にあたったためか,5〜10年に一度くらいはしまったと思う経験をしている.以下はその2例である.
第一は顎関節症の問題.現在では,顎関節造影は診断目的ではあまり行われなくなってきているが,1980年代は診断の主体であった.顎運動によって起こる疼痛,雑音,開口障害の診断には,関節内に造影剤を注入して関節円板の位置異常の評価することが必要であった.関節円板が前方に転位していると開口障害の原因となったり,転位した円板が下顎頭の上方に戻るときに雑音や痛みを引き起こす.そのため,当時関節造影で下顎頭より前方に転位した関節円板をみたら,異常所見であるとされていた.ところが,正常のボランティアの研究で,関節円板が前方に位置することがあるという論文が出た.
第一は顎関節症の問題.現在では,顎関節造影は診断目的ではあまり行われなくなってきているが,1980年代は診断の主体であった.顎運動によって起こる疼痛,雑音,開口障害の診断には,関節内に造影剤を注入して関節円板の位置異常の評価することが必要であった.関節円板が前方に転位していると開口障害の原因となったり,転位した円板が下顎頭の上方に戻るときに雑音や痛みを引き起こす.そのため,当時関節造影で下顎頭より前方に転位した関節円板をみたら,異常所見であるとされていた.ところが,正常のボランティアの研究で,関節円板が前方に位置することがあるという論文が出た.
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