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文献詳細

雑誌文献

medicina38巻11号

2001年10月発行

文献概要

WIDE SCOPE

「放射線診断」と「画像診断」

著者: 蜂屋順一1

所属機関: 1杏林大学医学部放射線科

ページ範囲:P.376 - P.376

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 「画像診断」という言葉が使われ出したのは,そう古いことではない.1970年代後半のことだったと思われる.これには当時の超音波診断の急速な進歩が関係している.1960年代の後半から1970年代初頭にかけては,bistable ultrasonography(鏡面反射を主なエコー源とする,白と黒のみで構成される超音波画像)が束の間の脚光を浴びた時代である.しかしbistable画像では臓器輪郭は何とか描出され,嚢胞と充実性腫瘤の鑑別はできるものの,実質臓器や充実性腫瘤の内部構造を正確に捉えるのは難しく,感度断層法とよばれる煩雑な手技を用いても,その診断精度は知れたものであった.この時代までは「放射線診断」という表現だけで十分であった.ところが,1972年にオーストラリアのKosoffがgray-scale sonographyを考案し,現在,われわれが使用しているような精細な画像が得られるようになって事態は一変した.被膜や臓器境界からの強大な鏡面反射信号を圧縮増幅によって押さえ,実質臓器からの微弱な非鏡面反射を相対的に強調するgray-scale sonographyは,今にして思えばまさにコロンブスの卵であるが,実に素晴らしいアイデアであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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