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今月の主題 Hematological malignancy—診断と治療の現状と展望 発症のメカニズムと疫学
造血幹細胞update—造血器腫瘍の発症機構と造血幹細胞移植を理解するために
著者: 安藤潔1
所属機関: 1東海大学医学部血液リウマチ内科
ページ範囲:P.174 - P.178
文献購入ページに移動 造血器腫瘍を学ぶに際して,初めはその詳細な病型分類,多種類の細胞表面マーカー,多様な染色体異常,造血幹細胞移植関連の様々な概念など,圧倒されることが多いのではないだろうか.他の疾患領域とは大きく異なってみえることであろう.しかも病型分類は短期間で改訂され,新たなCD(cluster of differentiation)番号と腫瘍関連遺伝子が次々にカタログに加えられていく.実際,血液内科医にとっても日々新たに加えられるそれらの情報に追いつくのには相当な努力を要するのが現状である.これは血液系という組織が容易にサンプリングでき,特定の組織構築をとらずに「血漿という培地に浮遊している細胞」という特性をもつため様々な検討の対象となりやすいことが1つの要因となっている.このため基礎科学で産み出された最新の成果が血液の分野で最初に応用されるのである.1つだけ最近の例を挙げておくと,ポストゲノム時代の診断法として期待されるDNAマイクロアレイ技術を用いた遺伝子発現パターン診断が,すでに血液腫瘍の領域では利用され始めている1,2).したがって造血器腫瘍を学ぶことの楽しさの1つは最新の科学の成果が医療に取り込まれる過程を目撃できる点である.
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