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今月の主題 Hematological malignancy—診断と治療の現状と展望 治療の現状と展望 造血幹細胞移植
骨髄非破壊的前処置を用いた造血器腫瘍の移植—mini-transplant
著者: 峯石真1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院内科
ページ範囲:P.254 - P.256
文献購入ページに移動 近年,同種移植にも末梢血幹細胞が使えるようになったこともあって,造血幹細胞移植は造血器腫瘍および一部の血液良性疾患の根治的療法として広く受け入れられるようになった.従来の幹細胞移植の考え方では,移植の前処置には,抗腫瘍の治療法としての意味以外に2つの意義があり,それは骨髄破壊(myeloablation)および免疫抑制(immunosuppression)である.しかしながら,最近の臨床的知見は,この両者のうち免疫抑制のみが重要で,骨髄破壊を行わなくても造血幹細胞の生着は得られるということを明らかにした.最近,世界各国で非常に盛んに行われるようになった骨髄非破壊的移植(mini-transplant:ミニ移植)は,この考え方の基礎の上に立ち,移植前後の主要な合併症の原因である前処置を免疫抑制中心のものに切り替え,大量化学療法や放射線療法を使わないことによって,前処置関連毒性および移植合併早期死亡を減らすことを目的としたものである.これは初め,普通の同種移植が施行できない高齢者や臓器障害のある患者を中心に適応されていたものであるが,症例の蓄積とともにその適応も広がりつつある.
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