icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina39巻11号

2002年10月発行

文献概要

column

薬の効き目に男女差がある?

著者: 島田美樹1

所属機関: 1東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野

ページ範囲:P.207 - P.207

文献購入ページに移動
 ラットやマウスでは薬の動態と代謝に,性差のあることが古くから知られています.ラットでは,成長ホルモンの分泌パターンに著しい性差があり,この違いが代謝酵素などの発現に影響して,薬効と動態の性差が生じます.ヒトでは成長ホルモンの分泌パターンに性差は認められず,しかも先天的な遺伝的因子や後天的な食事や環境因子などによって現れる「個人差」が大きく,薬の効き目に男女差はないと信じられてきました.
 しかし最近,薬の効き目に男女差があるという報告が増えてきました.例えば,メチルプレドニゾロン,チリラザド,ベラペミルの血漿クリアランスは,女性が男性より高い値を示すという報告があります.これらの薬の代謝にかかわる主な酵素(チトクロームP450)として,CYP3A4があります.この分子種含量に男女差があるとする報告があり,薬物代謝酵素含量の差が薬の効き目に影響している可能性があります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?