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文献詳細

雑誌文献

medicina39巻11号

2002年10月発行

文献概要

column

生兵法はけがのもと

著者: 大菅俊明1

所属機関: 1相川内科病院

ページ範囲:P.224 - P.224

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 病気には,自然経過に任せたほうがよいものと積極的に治療しなくてはならないものとがあります.医学の未熟さから思わぬ病気を医者が作ってしまうことがあります.薬剤による傷害や手術ミスなどです.これらは悪意から出たものではなく,予期もできなかったから,治療という大きな目的のためには仕方がなかったことと言い訳されがちです.しかし,患者さんにとっては大変なことです.
 同じようなことが,医者の誤った説明から起こることがあります.医学の進歩の理解が生半可なために,医者の説明が患者さんを惨めな目に遭わせてしまうことがあります.例えば,こんなことを経験しました.国民病ともいわれるC型肝炎に対する関心が高まっています.60歳の輸血歴のある男性がある病院を受診し,C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性という結果が出ました.そこで主治医から「あなたは将来,慢性肝炎から肝硬変,さらには肝癌になります」と説明されました.しかし,当方では抗体価は低く,さらにHCV-RNA定性検査は陰性でした.肝機能も正常.そこで,「これは既往の感染の可能性が高く,日常生活はもちろん普通にしてよいし,将来もまず肝癌にはならないだろう」と説明しました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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