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文献詳細

雑誌文献

medicina39巻11号

2002年10月発行

文献概要

増刊号 内科医が使う薬の副作用・相互作用 神経・筋疾患薬

中枢性筋弛緩薬(セルシン,リオレサール,ミオナール)

著者: 三浦浩子1 栗原照幸1

所属機関: 1東邦大学医学部第4内科

ページ範囲:P.284 - P.286

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 中枢性筋弛緩薬は大脳,脳幹,脊髄の単シナプス・多シナプスに作用し抑制することで,筋弛緩をもたらす薬剤のことである1〜5).末梢性筋弛緩薬が外科的手術時に筋弛緩を得るために全身麻酔薬と併用されることが多いのに比べ,中枢性筋弛緩薬では痙性麻痺などに対する筋弛緩の目的で使用される.
 痙性麻痺をきたす原因には,脳血管障害や脊髄障害などによる中枢神経系の器質性疾患が多い.上位運動ニューロン症候群(upper motor neuronsyndrome)では,痙直のほか,反射亢進,病的反射の出現,クローヌス,巧緻運動障害がみられる.中枢性筋弛緩薬は患者が最も困る上位運動ニューロン症候群の症状のうち,巧緻運動障害の改善には効果がないので,治療にはおのずと限界がある.つまり,手指の細かい運動,例えば箸を使ったり,手紙を書いたり,編み物をしたり,料理で食材を細かく切ったりする緻密な運動は,筋弛緩薬で痙直をとっても必ずしも改善しないので,薬効には限度があることを知ったうえでこれらの薬を使う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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