icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina39巻11号

2002年10月発行

文献概要

column

副作用調査会の頃のこと①

著者: 多賀須幸男1

所属機関: 1多賀須消化器科内科クリニック

ページ範囲:P.328 - P.328

文献購入ページに移動
 私は1975年から1994年まで,厚生省(現,厚生労働省)中央薬事審議会の副作用調査委員会委員をつとめた.全国から厚生省に寄せられる副作用の事例は年間1万件に及ぶそうであるが,そのうちの,死亡の全例,重篤な副作用,新しい副作用などを各分野の委員25名余が集まって討議し,「医薬品副作用情報」にまとめて配布した.現在の「医薬品安全性情報」である.
 重要な副作用情報をいかに速やかに医師に伝達するか,副作用調査会は非常にてこずっていた.印象に残るのはホパテ(calcium hopantenate)の場合である.1978年に小児の脳炎後遺症を適応にして承認されたホパテには,当初から痙攣などの副作用が知られていた.1983年2月に脳出血後遺症に摘応が拡大されると,その年末には低血糖・アシドーシスによる意識障害の事例が報告され,使用量が急増するとともに増え続けた.1987年8月副作用情報,1988年6月に企業から緊急安全情報(ドクターレター),1989年3月医薬品情報と繰り返し警告してようやく終息したが,その間にホパテは30社から発売され,47例の低血糖・アシドーシスが報告され,21例が死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?