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依存と自立
著者: 保坂隆1
所属機関: 1東海大学医学部精神科
ページ範囲:P.358 - P.358
文献購入ページに移動 私は研修医を終了してからもう20年間,精神科医をやっています.その20年間を振り返ると,前半の10年間と後半の10年間では明らかにやり方を変えてきました.もちろん最初から意図したことではなく,いろいろなことがあって修正してきたことですが,これがすなわち臨床医としての成長なんだろうと思っています.
若いときには,非常に熱心に患者さんの心の中に入り込んで,性格や葛藤を分析したり,アドバイスしたり…という診療態度でした.そうすると,今思えば当たり前のことですが,患者さんは退行し,治療者に依存してくるわけです.さまざまな気持ちを治療者に向けることになり,これは「転移」といわれます.若いときには,あるいは医者になったばかりのときには,患者さんに頼られることは一人前の医者になったようで心地よく,患者さんに依存されることは一人前の大人になったかのように思えるものです.しかしそのような研修の時期には,遠くに転勤したり留学したりする機会があって,そのような患者さんと別れて,他の治療者にバトンタッチすることがしばしばあるわけです.そのようなときに,バトンタッチがうまくいかないと,患者さんは支えを失い不安定になるのです.
若いときには,非常に熱心に患者さんの心の中に入り込んで,性格や葛藤を分析したり,アドバイスしたり…という診療態度でした.そうすると,今思えば当たり前のことですが,患者さんは退行し,治療者に依存してくるわけです.さまざまな気持ちを治療者に向けることになり,これは「転移」といわれます.若いときには,あるいは医者になったばかりのときには,患者さんに頼られることは一人前の医者になったようで心地よく,患者さんに依存されることは一人前の大人になったかのように思えるものです.しかしそのような研修の時期には,遠くに転勤したり留学したりする機会があって,そのような患者さんと別れて,他の治療者にバトンタッチすることがしばしばあるわけです.そのようなときに,バトンタッチがうまくいかないと,患者さんは支えを失い不安定になるのです.
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