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文献詳細

雑誌文献

medicina39巻11号

2002年10月発行

文献概要

column

糖尿病と腎毒性を有する薬物

著者: 丹藤雄介1

所属機関: 1弘前大学医学部第3内科

ページ範囲:P.364 - P.364

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 生活習慣病の代表である糖尿病の診療では,血糖コントロールはもちろん,網膜症や腎症,神経障害の管理や併存している高血圧,高脂血症の治療も行います.外来診療では,特に重篤でない限り,ひと月に1回の受診になることが多いのですが,その間にも患者さんは他の病院や診療科を受診して薬を処方されることがあります.いつも紹介状や頼診券で連絡できるとは限らず,突然腎機能が悪化していたりしてびっくりすることがあります.先日も風邪で近医を受診し,消炎鎮痛薬と抗生物質をもらって5日間服用し,定期外来日に血清クレアチニンが1.0mg/dlから2.4mg/dlまで上昇していた患者さんがいました.非ステロイド系消炎薬は,このほかにも頭痛や歯の治療,整形外科疾患,関節リウマチなどで処方されることが多いのですが,患者さんにも説明しておくことが必要です(糖尿病教室などで説明はするのですが,自分のことと思っていない患者さんが多いようです).また,CTの造影剤や蛍光眼底検査のフルオレセインなどでも腎機能が悪化する症例があることにも注意が必要です.糖尿病では,この症例のような腎機能の悪化以外にも急激な血糖正常化による治療後神経痛,抗血小板薬による眼底出血の悪化など,薬物治療の副作用が知られています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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