文献詳細
文献概要
増刊号 内科医が使う薬の副作用・相互作用 解熱・鎮痛・向精神薬
非定型抗精神病薬(リスパダール,ルーラン,ジプレキサ,セロクエル)
著者: 三木和平1
所属機関: 1三木メンタルクリニック
ページ範囲:P.462 - P.463
文献購入ページに移動適応
従来,統合失調症の治療にはクロルプロマジンやハロペリドールなどの定型抗精神病薬が用いられてきた.定型抗精神病薬は幻覚や妄想などの陽性症状には有効であるが,意欲低下や感情鈍麻などの陰性症状には効果が乏しく,薬剤性パーキンソニズムやアカシジアなどの錐体外路症状や長期間使用すると遅発性ジスキネジアなどの副作用を認めるといった問題点がある.そこで,効果は同等以上で,陰性症状にも効果があり,より副作用の少ない薬剤として非定型抗精神病薬が開発された.非定型抗精神病薬は,SDA系とMARTA系の2群に大きく分類される.SDAはセロトニン・ドパミン拮抗薬の略で,現在わが国ではリスパダール®(リスペリドン)とルーラン®(塩酸ペロスピロン水和物)の2種類が使用されている.MARTAは,multi-acting receptor targeted antipsychoticsの略で,広範な各種の神経伝達物質受容体の遮断作用を認める.チエノベンゾジアゼピン系のジプレキサ®(オランザピン)がその代表であるが,ジベンゾチアゼピン系のセロクエル®(フマル酸クエチアピン)も同様の特徴をもつ.
現在わが国では,以上の4種類の非定型抗精神病薬が使用されているが,適応は統合失調症のみである.また,現在のところ適応はないものの,その他の精神病状態,双極性障害(躁状態),小児期の精神障害,老年期精神障害,せん妄などにも効果を認めるとの報告がある.内科医が直接,非定型抗精神病薬を処方する頻度は少ないと思われるが,今後さらに処方数は増加するものと予想され,統合失調症の薬物療法の主流となるものと考えられている.生活習慣病や合併症などで内科を受診する症例も増加するものと思われ,非定型抗精神病薬の副作用や相互作用を十分理解しておく必要があるだろう.
従来,統合失調症の治療にはクロルプロマジンやハロペリドールなどの定型抗精神病薬が用いられてきた.定型抗精神病薬は幻覚や妄想などの陽性症状には有効であるが,意欲低下や感情鈍麻などの陰性症状には効果が乏しく,薬剤性パーキンソニズムやアカシジアなどの錐体外路症状や長期間使用すると遅発性ジスキネジアなどの副作用を認めるといった問題点がある.そこで,効果は同等以上で,陰性症状にも効果があり,より副作用の少ない薬剤として非定型抗精神病薬が開発された.非定型抗精神病薬は,SDA系とMARTA系の2群に大きく分類される.SDAはセロトニン・ドパミン拮抗薬の略で,現在わが国ではリスパダール®(リスペリドン)とルーラン®(塩酸ペロスピロン水和物)の2種類が使用されている.MARTAは,multi-acting receptor targeted antipsychoticsの略で,広範な各種の神経伝達物質受容体の遮断作用を認める.チエノベンゾジアゼピン系のジプレキサ®(オランザピン)がその代表であるが,ジベンゾチアゼピン系のセロクエル®(フマル酸クエチアピン)も同様の特徴をもつ.
現在わが国では,以上の4種類の非定型抗精神病薬が使用されているが,適応は統合失調症のみである.また,現在のところ適応はないものの,その他の精神病状態,双極性障害(躁状態),小児期の精神障害,老年期精神障害,せん妄などにも効果を認めるとの報告がある.内科医が直接,非定型抗精神病薬を処方する頻度は少ないと思われるが,今後さらに処方数は増加するものと予想され,統合失調症の薬物療法の主流となるものと考えられている.生活習慣病や合併症などで内科を受診する症例も増加するものと思われ,非定型抗精神病薬の副作用や相互作用を十分理解しておく必要があるだろう.
掲載誌情報