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カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・23
Crohn病
著者: 櫻井俊弘1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科
ページ範囲:P.1992 - P.1996
文献購入ページに移動 Crohn病の診断に関しては,欧米では古くから鑑別診断基準が発表されている.わが国でも独自の診断基準が作成され,1996年には厚生省(現,厚生労働省)難治性炎症性腸管障害調査研究班によってCrohn病の診断基準案(以下,新診断基準)が改訂された1,2).従来の診断基準では一部の小腸型Crohn病を確診例とできなかったが,新診断基準では小腸病変(縦走潰瘍や敷石像)の診断特異性を重視し,さらにアフタ様潰瘍(以下,アフタ)ないしは不整型潰瘍にも診断特異性をもたせてある.一方,病理学的診断項目である非乾酪性類細胞肉芽腫(以下,肉芽腫)の重みをより軽くし,必須項目ではなくした.その結果,①縦走潰瘍または敷石像を有するもの,②「縦列配置する不整形潰瘍またはアフタ」+肉芽腫,③「上部消化管と下部消化管の両者に認められる不整形潰瘍またはアフタ」+肉芽腫,の3項目によってCrohn病と確診される.ただし,これらの形態学的所見は絶対的な特異性はなく,他の疾患によっても生じうる.したがって,他疾患による所見が疑われる場合には確診とはならない.以下にCrohn病の典型的所見について解説する.
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