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文献詳細

雑誌文献

medicina39巻12号

2002年11月発行

文献概要

内科医のためのリスクマネジメント—医事紛争からのフィードバック・8

内視鏡検査と医療事故(2)

著者: 長野展久12

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学 2東京海上メディカルサービス

ページ範囲:P.2010 - P.2014

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消化器内視鏡検査と偶発症
消化器内視鏡検査のように,ある程度の侵襲が予測される検査に関連して,それまでは不自由のなかった患者に重篤な後遺障害が発生した場合には,担当医師の心中は決して穏やかでなくなると思います.例えば,下部消化管内視鏡検査で不幸にも大腸穿孔を起こした若手の医師に対し,心配した先輩医師が「これで君も一人前だな,以後は気をつけるんだよ」というような励ましの言葉をかけていたという話も,数年前までは聞くことができました.このような事故に遭遇した場合はひとまず「偶発症」と考えて,患者や家族には不可抗力による事故という説明をする医師が多いと思います.しかし昨今の医事紛争をみると,偶発症という考え方自体に大きな疑問が投げかけられているように思います.今までの定義では,事前に予測できず不可抗力によって起こるものを「偶発症」,ある程度の予測はできるが過失は存在しないものを「合併症」と位置づけ,「過誤」といえば未熟な技術や注意不足によって起こるものを指していました.ただしこれはあくまでも医師の側からみた分類であり,患者側,あるいは医師以外の第三者からみると,全く別の考え方になることがあります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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