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内科医のためのリスクマネジメント—医事紛争からのフィードバック・5
内視鏡検査と医療事故(1)
著者: 長野展久12
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学 2東京海上メディカルサービス
ページ範囲:P.1432 - P.1435
文献購入ページに移動医療技術の進歩に伴って内視鏡検査は広く普及するようになり,上部・下部消化管内視鏡検査,気管支内視鏡検査,腹腔鏡検査などは比較的気軽に施行できる身近な検査となりました.そして内視鏡関連の診断技術,治療技術も格段に向上し,学会などの教育講演でビジュアルに紹介されることもあって,数年前までは大学病院で扱うような難しい症例が,一般病院でもごく普通に治療できるようになりました.
こうした内視鏡検査の進歩によってもたらされる「光」の面とは裏腹に,内視鏡検査に伴う「影」の部分も急増し始め,単純なミスからハイレベルの事故までさまざまなケースが医事紛争へと発展しています.医師の立場では,内視鏡検査に伴って発生する合併症を「偶発症」と呼んでいて,どちらかというと「不可抗力」という位置づけがなされており,またそう考えたくなるようなケースも実際に存在します.しかし内視鏡検査後に死亡したり,重度後遺障害が残ったりすると,患者は「治って当たり前」という意識が強いため,「偶発症」という考え方をなかなか受け入れることができません.
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