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カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・21
潰瘍性大腸炎
著者: 岩男泰1 長沼誠1 日比紀文1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科
ページ範囲:P.1595 - P.1598
文献購入ページに移動炎症性腸疾患の診断は,臨床症状に加え,X線・内視鏡などの画像診断,細菌学的検査,病理学的診断を併せて総合的に行う必要がある.特に内視鏡の役割は大きく,診断だけでなく治療内容の決定を行ううえでも必須の検査法である.腸管に炎症を生じる疾患は数多くあり,診断にあたっては,それぞれの内視鏡所見の特徴を熟知しておく必要がある.腫瘍性病変を診断する場合との大きな違いは,病理学的診断が必ずしもgoldenstandardになりえないことにある.潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病は最も重要な疾患であり,この両者の診断をマスターすることができれば,他の疾患の診断・鑑別も容易になる.特にUCは最も頻度が高く,大腸の炎症性疾患を診断をする際に,まず鑑別すべき疾患である.厚生労働省の班研究による診断基準では,UCの確定診断には他の類似疾患の除外診断が必要とされているが,その特徴的な内視鏡所見があれば診断は決して難しくはない.ただし,病期によって感染や虚血,治療の影響などの要因が加わり,多彩な所見をとりうることを知っておく必要がある.
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