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文献詳細

雑誌文献

medicina39巻9号

2002年09月発行

内科医のためのリスクマネジメント—医事紛争からのフィードバック・6

ありふれた疾患に潜むリスク

著者: 長野展久12

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学 2東京海上メディカルサービス

ページ範囲:P.1620 - P.1623

文献概要

上気道炎
 上気道炎といえば,専門領域にかかわらず日常的にみることの多いありふれた疾患の一つです.病原体の80〜90%はウイルスであり,残りは細菌,マイコプラズマ,クラミジアなどが占めます.治療としては,ウイルス感染に伴う不快な諸症状を緩和し,全身状態を改善させ,二次的な細菌感染などの合併症を防止することが重要です.そのようなことを念頭に置いたうえで,熱が出た,喉が痛い,鼻がつまる,咳が出る,身体がだるいというような症状を主訴として患者が来院すれば,問診,喉の診察,聴診などを一通り行い,重大な所見がなければとりあえず総合感冒薬,解熱鎮痛薬,鎮咳薬,場合によっては抗生物質を処方して経過観察を行うことが多いと思います.おそらく上気道炎のほとんどが,対症療法を主体とした1週間程度の経過で自然治癒へと向かい,大きな問題にはなりません.ところが,ご存じの通り上気道炎を契機として原疾患が悪化したり,当初は上気道炎と思われたのに実は背後に重大な病気が潜んでいたということもあり,危険なサインを見逃して重大な事態へと発展するケースがあります.
 そこで今回は,ごく短時間のあいだに容態が急変したきわめて重症の「上気道炎」を2例取り上げることにします.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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