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FOREIGN MEDICAL BOOKS
医師の倫理への厳しい要求—Nikola Schipkowensky:Iatrogenie oder befreiende Psychotherapie(Scheideweg jeden Arztes)
著者: 黒沢良介1
所属機関: 1三重県立大・精神科
ページ範囲:P.123 - P.123
文献購入ページに移動 著者はSofiaの大学の精神科の教授で,"人格の異常反応"その他多くの精神医学についての著書で知られている。ここに紹介する本は,著者が書中でくりかえし強調しているように,非常に重要な問題であるにかかわらず,いままでの精神科の教科書,叢書で,それ自体としてほとんどとりあげていないIatrogenieについて,古今東西の文献を紹介しながら,自己の豊富な経験をとりいれたきわめてユニークな本である。
副題にもあるように,すべての医者はすべての患者の前にIatrogenieとbefreiende Psychotherapieの間の岐路に立たされている。すべての患者の医者との出会いは強い精神的作用の平面で行なわれる。決定的な問題はpositiv(befreiende Psychotherapie)かnegativ(atrogenie)かであり,中間的ではありえないという。医者のかるがるしい言葉,不十分な説明,病気をおもくみさせる言葉,あるいは医者が診察中に示す態度がいかに患者に重大な作用をおよぼすことがあるかは私たち医者がすべて経験していることではある。その事実を数多くの実例をもつて紹介されると,あらためてことの重大さに驚くのである。
副題にもあるように,すべての医者はすべての患者の前にIatrogenieとbefreiende Psychotherapieの間の岐路に立たされている。すべての患者の医者との出会いは強い精神的作用の平面で行なわれる。決定的な問題はpositiv(befreiende Psychotherapie)かnegativ(atrogenie)かであり,中間的ではありえないという。医者のかるがるしい言葉,不十分な説明,病気をおもくみさせる言葉,あるいは医者が診察中に示す態度がいかに患者に重大な作用をおよぼすことがあるかは私たち医者がすべて経験していることではある。その事実を数多くの実例をもつて紹介されると,あらためてことの重大さに驚くのである。
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