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文献概要
慢性肺疾患のさいに桴状指がしばしば認められることは,紀元前にヒポクラテスの記載があるほど古くから知られた事実である。肺疾患でない場合,すなわち1)先天性,2)心疾患,3)肝疾患,4)胃腸疾患,5)その他レイノー病,紫斑病,腎盂炎,赤血球増多症の場合にも現われうるので注意を要するが,肺疾患では,気管支拡張症,肺気腫,肺線維症,肺がんなどの場合にしばしば認められ,重要な徴候の一つである。なぜなら肺がん以外の上記疾患では,疾患が長期かつ広汎でかなりの肺機能障害が考えられるからであり,肺がんでは,早期に発現して肺がん発見の端緒となることがあるからである。筆者は,肺疾患患者の診察にあたつては視診のさいに桴状指の有無を必ず確かめて病歴に記載することにしている。
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