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フィラリア症(糸状虫症)
著者: 佐藤八郎1
所属機関: 1鹿大内科
ページ範囲:P.1427 - P.1428
文献購入ページに移動フィラリア症(わが国では大部分はバンクロフト糸状虫症)は本来,熱帯,亜熱帯に多い疾病である。わが国においても古くより本症に関する記載,報告がなされ四国,九州,沖縄などが本症の流行地として知られていた。
現今の本症浸淫状況を,昭和37年より実施されている「フィラリア病予防対策」の集団検診成績よりみてみると,昭和37年より昭和41年まで鹿児島,長崎,熊本,宮崎,大分,愛媛,高知,東京,新潟の9府県において約170万名という膨大な人員の検血を行ない,鹿児島,長崎,熊本,宮崎,愛媛,高知,東京の7府県において,本症の仔虫(ミクロフィラリア,Mf.)陽性者が発見されている。すなわち総数約31,000名のMf・陽性者が発見されたが,このうち98%は鹿児島(約80%),長崎(約18%)より発見されている。さらにこの両県においても,奄美大島五島列島など離島の住民に高率にMf.陽性者が見出されている。このように現在では本症の流行はかなり限局されていることが判明しているので,診断にあたつては,患者の現住所のみではなく,出生地,以前の居住地,その他生活歴を詳細に問うことが肝要であろう。
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