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治療のポイント
外傷性頸性頭痛症候群(むち打ち症候群を含む)
著者: 近藤駿四郎1
所属機関: 1東京労災病院
ページ範囲:P.1438 - P.1439
文献購入ページに移動原因は頸部交感神経の失調に
こんにちまでの多くの学者の本症候群発生の原因についての考察では,その関心が頸椎に向けられてきたが,筆者は最初から(1955)この説は肯向しえなかつた。これらの学者の注目したところはまず頸椎のOsteoarthrosis deformansであつたし,また椎間板ヘルニアを重視した人もある。筆者の経験によれば,多くの外傷性頸性頭痛症候群を呈する患者の頸椎はなんらの変化をレ線学的には示さない。むしろ正常であることのほうがふつうである。また頸椎の変化を示したとしても,それは外傷によるものと考えるより,年齢との相関のほうがはるかに深いものである。このようなことから筆者は本症候群発生に「レ線学にとらえられるような頸椎の変化」は第一次的な意味はないと考えている。
頭部外傷にせよ,また「むち打ち」にせよ,外力が作用する部位が頸部であり,これの過伸展,過屈曲が急激に生じたときに本症候群が発生するのであるが,おそらくこの症候群発生の原因としてもつとも重要な役割を演じているものは頸部自律神経系,ことに交感神経系であろう。頸部において血管筋肉その他の軟部組織の損傷が起こりこれが頸部交感神経系の刺激状態を招来することもあろうし,交感神経系の直接の刺激状態というものもありうるであろう。
こんにちまでの多くの学者の本症候群発生の原因についての考察では,その関心が頸椎に向けられてきたが,筆者は最初から(1955)この説は肯向しえなかつた。これらの学者の注目したところはまず頸椎のOsteoarthrosis deformansであつたし,また椎間板ヘルニアを重視した人もある。筆者の経験によれば,多くの外傷性頸性頭痛症候群を呈する患者の頸椎はなんらの変化をレ線学的には示さない。むしろ正常であることのほうがふつうである。また頸椎の変化を示したとしても,それは外傷によるものと考えるより,年齢との相関のほうがはるかに深いものである。このようなことから筆者は本症候群発生に「レ線学にとらえられるような頸椎の変化」は第一次的な意味はないと考えている。
頭部外傷にせよ,また「むち打ち」にせよ,外力が作用する部位が頸部であり,これの過伸展,過屈曲が急激に生じたときに本症候群が発生するのであるが,おそらくこの症候群発生の原因としてもつとも重要な役割を演じているものは頸部自律神経系,ことに交感神経系であろう。頸部において血管筋肉その他の軟部組織の損傷が起こりこれが頸部交感神経系の刺激状態を招来することもあろうし,交感神経系の直接の刺激状態というものもありうるであろう。
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