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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻11号

1967年11月発行

文献概要

文献抄録

肝硬変の患者と健康者の血清中の遊離脂肪酸,インスリンおよびブドウ糖値におよぼすカプリル酸の影響—Lancet 1:593-597(March 18) 1967

著者: 若林保司

所属機関:

ページ範囲:P.1581 - P.1581

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 ブドウ糖とカプリル酸を十二指腸内に注入して,それが血清中のブドウ糖,遊離脂肪酸(FFA),およびインスリン値におよぼす影響を健康者4人と肝硬変の患者5人について確かめた。ブドウ糖(50mg)に少量のカプリル酸を加えて十二指腸内に注入したところ,血清中の免疫反応性インスリン値が,ブドウ糖単独注入のものに比べて高かつた。このことは,健康者,肝硬変の患者の両方にいえることであつた。こういう結果(つまり免疫反応性インスリン上昇)は,血糖濃度には有意の差がみられなかつたことから血糖の上昇が媒介となることでは説明がつかないように思われる。脂肪酸値の下降線の勾配には有意の差はなかつたけれども,脂肪酸はカプリル酸が吸収されているあいだだけ比較的高いようであつた。このFFA値のわずかな差が血清インスリン濃度のこのような上昇の原因であつたかもしれない。また,カプリル酸が膵臓に直接刺激的にはたらいたともいえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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