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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻11号

1967年11月発行

文献概要

EDITORIAL

Banti症候群

著者: 市田文弘1

所属機関: 1新大・内科

ページ範囲:P.1600 - P.1600

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 1894年Bantiは"Splenomegalie mit Lebercirrhose"として,貧血を初発症状とし,脾腫を伴う肝硬変をLaennec型肝硬変から分離した。このBanti病は第1期貧血期(3〜5年),第2期移行期(数カ月),第3期腹水期(5〜7カ月)の3期に分けられ,貧血,および脾腫は初発症状で,肝硬変は移行期に出現し,貧血期には肝に異常を認めていない。血液像では赤血球,血色素はともに減少し,白血球は正常,または減少を示す。また病因として脾に毒性物質を生じ,それが肝障害を惹起して肝硬変を形成し,脾静脈をおかして慢性静脈炎をきたすものと考えた。病理学的には脾腫を示す脾臓に特徴をとらえ,高度のうつ血と赤色髄のびまん性のFibroadenie,また濾胞のFibroadenieを特色としている。
 その後,同様な症例が多く報告され,その実在性に関しては現在もなお議論の多いところである。それは1,000〜1,500gの巨大な脾腫を示していながら,肝硬変の脾との比較において組織学的特徴は乏しく,量的差異はあつても,質的には大きな差異のないこと,特にBantiが強調した脾濾胞のFibroadenieは本邦の調査においてもきわめて少ないこと,さらに脾腫の程度と肝病変の程度との間に一定の関連性がないことから本症の実在性に多くの疑問が残されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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