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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻11号

1967年11月発行

文献概要

臨床メモ

3日以上発熱の続くとき

著者: 小山善之1

所属機関: 1国立東京第一病院・内科

ページ範囲:P.1627 - P.1627

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 表題の場合にもつとも必要なことはその原因が何であるかの診断であろう。ここでは紙面のつごう上微熱をのぞき38℃以上の発熱がつづいた場合をとりあげてみた。急性感染症たとえば急性気管支炎,肺炎,急性肝炎,急性腎盂炎,その他では,3日以上発熱がつづけばたいがい症状が出そろうので既往歴をはじめ現病歴・現症を詳細に把握すればおよそ診断はつく。しかしこのような場合患者が抗生物質を服用していることが多く,一部の者ではサルファ剤や解熱剤ときにステロイド剤が使われている。処方箋なしで上記の薬剤が容易に入手できるわが国では,患者が医師の指示をも受けずに服用していることもたびたびである。そこで症状が中途はんぱや仮面性となり,あるいは再燃し発熱がつづくこともあり,これらが診断を困難にする一因となつている。
 急性感染症または慢性炎症の急性再燃たとえば胆管炎・腎盂炎その他臓器の化膿性疾患や敗血症ことに亜急性細菌性心内膜炎,最近まれになつたが腸チフスなどでは,与えられている抗生剤やステロイド剤を中断して動静脈血その他可検物を培養し,起炎菌の分離と薬剤感受性測定が必要である。一方ウイルス性感染症では血清中の抗体の増減の測定が行なわれる。また死亡率は減少しても罹患者は減つていない呼吸器結核もつねに念頭におかねばならない。高齢者の結核が増加しているこんにち年齢を問わず調べる必要があり,ことに糖尿病などの基礎疾患があればなおさら検査を欠くことができない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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