文献詳細
特集 病歴
文献概要
18世紀末期に打診法がL.Auenbruggerによつて考案され,19世紀初期にR.Laennecによつて聴診法が案出されてこのかた20世紀の第1世代を通じての100年あまりの間,診察法の中核は打聴診であつたといつても過言ではない。しかしそれよりも以前,古代から医術・医学は存在していて,そのころには問診が視診ならびに触診と相ならんで,診察法の中核を形成していたとしか考えられない。さて,臨床の本質が,診断と治療とにある点は昔も今も変わりはなく,移り変わつてきたのは,診断と治療の直接基盤となる学問である。それ以前には解剖学やごく初期の生理学が,臨床への基礎学であると思われたのが,打聴診の時代を通じては病理解剖学に移り,19世紀第2世代から今世紀第1世代にいたるまで,第1級の臨床学者は打聴診所見を中心とした診断の成果が,病理解剖所見とどれほど適合するかに精魂を傾倒したといえる。
ところが,今世紀第2世代にはいるころから病態生理学あるいは機能病理学が急速な進展をみせるようになつてきた。
ところが,今世紀第2世代にはいるころから病態生理学あるいは機能病理学が急速な進展をみせるようになつてきた。
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