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EDITORIAL
自然発症糖尿病動物
著者: 中村三雄1
所属機関: 1名大・解剖
ページ範囲:P.224 - P.224
文献購入ページに移動 Lazarusの単行本1)に記されているごとく,犬猫などの家畜において糖尿病の自然発症がときどきみられることはすでに20世紀の初めごろから報告されている。これに反して齧歯類においては,1951年Mayerら2)がobeseマウス(アメリカで発見された肥満マウス)に高血糖をみたのをもつてこの方面の研究の嚆矢とする。この論文に刺激されて私は1957年日本産を中心としてわが国で手に入いる近交系マウスの飽食時血糖値を調べる仕事に着手した。2年後私は肥満,多食,多尿,鈍重なKK系という国産マウスが他の系統より平均血糖値が高いこと,5ヵ月齢以上の個体に尿糖陽性(テステープで+〜++++)反応および200mg/dl以上の高血糖がしばしばみられることを発見した。ここで私が考えたのは「KK系マウスが顕著な高血糖形質を表現するのは比較的高齢においてであるが,もつと若い月齢においても糖同化力そのものは低いに違いない。」ということで,さつそく糖負荷試験を行なつてみた。その結果は予想どおりであつた。一方膵インスリン量は正常よりも高く,また膵組織にはラ氏島の肥大,B細胞の脱顆粒などの変化がみられた。そしてこれらの所見を綜合して「KK系マウスはobeseマウスと同じく成人型の糖尿病のモデルとなりうるものである。」との結論に達し1962年発表3)したのであつた。
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