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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻5号

1967年05月発行

検査データ どう読みどうする?

好酸球増加

著者: 斎藤泰弘1

所属機関: 1東大・物療内科

ページ範囲:P.625 - P.625

文献概要

 健康な日本人壮年男女計150名についての自験成績では,血中好酸球百分率の棄却限界は0.3〜6.3%(信頼限界は1.9〜2.8%)という数値が得られたが,周知のごとく一般にも,5〜6%を異常値の限界として,それ以上のものを好酸球増加とみなしている。まず好酸球増加のみられた1,2の症例の紹介から始めたい。
 症例1 34歳の婦人。2,3日来の夜間に増強するかるい喘息様呼吸困難感,咳,微熱で入院,胸部レ線像では,図のように両側中下肺野に散在する不定型塊状の陰影を認めたが,これは1週間後には消失した。入院時の血中好酸球は36.5%で,粘液状の痰には,図のようなダニとその幼虫が認められた。約5カ月間でダニの喀出は止み,好酸球も5.5%に下がった。この症例のような好酸球増加を伴う肺の一過性浸潤はLöffler症候群とよばれ,原因は多元的であると考えられているが,ダニの肺臓寄生(pulmonaryacariasis)も,その成因の一つとしてあげることができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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