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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻7号

1967年07月発行

文献概要

検査データ どう読みどうする?

混濁した髄液

著者: 祖父江逸郎1

所属機関: 1名大・日比野内科

ページ範囲:P.937 - P.937

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 髄液は正常では水様無色透明で,放置しておいても外観はなんら変わらない。混濁している場合は,いかに軽度であつても病的である。髄液が混濁するのは主として白血球,赤血球,細菌,細胞などが存在するためである。正常の髄液では1.0mm3中3〜5こ細胞があり,小淋巴球であるが,通常6こ以上の細胞数がある時は病的である。淋巴球だけが増加している時は液はほとんど混濁しないか,または透過光線でみると微細な混濁,すなわち微細浮遊物が認められる。白血球増加がある時には混濁が強くおこる。新鮮な出血では髄液は不透明で赤血球混入の多少によつて着色や混濁の度合いが異なる。
 混濁した髄液をみた時,考えられる疾患をあげると表のようなものがある。疾患によつて混濁の度合いや着色の有無が異なるので,外観だけからでも,まず大ざっぱな仕分けが可能である。脳出血,脳血栓,栓塞,クモ膜下出血では内容が主として赤血球で,着色しているので,他のものから区別される。このうちクモ膜下出血では赤血球数も多く,したがつて一般に不透明混濁度も強い。上清は脳出血,血栓,栓塞では黄色であるが,クモ膜下出血では黄桃色を呈する。脳腫瘍でも時に赤血球がかなり含まれていて,脳血管障害と類似の髄液外観を呈することがある。その他の疾患では着色していることはほとんどない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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