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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻7号

1967年07月発行

文献概要

EDITORIAL

肝硬変—概念の変遷

著者: 高橋忠雄1

所属機関: 1慈恵医大・内科

ページ範囲:P.999 - P.999

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 1813年,肝硬変が新生物という誤つた見解の下に,Laennecによつて記載されたところに,この疾患の今日までの混乱と謎とに終始している不幸が始まつたともいえるであろう。これとくらべると,そのすぐ後に,Cruveilhierの肝組織の一部の萎縮と残存部の肥大が肝硬変に至るプロセスであることの推察,またKiernanの結合織増生に早くも注目したことなどは,格段にすぐれた業績といつてよいと思う。
 その後半世紀ほどの間,肝硬変の形態学的研究と臨床的観察は,まず順調な歩みをつづけていた。この間Laennecの"萎縮性"に対立するかにみえたHanotらのいわゆる"肥大性肝硬変"(今日の考えでは,primary biliary cirrhosis)の提唱に,攪乱された無用の労力の浪費の1時代はあつたにせよ。この頃の病理学者の見解は,肝硬変の本質を炎症とするのが圧倒的であり(chronische,diffuse,interstitielle,produktive Hepatitis),やがてこれに反発する肝実質崩壊が先行してこれに炎性反応が伴うとする説との論争(いわゆるHepatitis-Hepatose Problem)がつづき,Rössleはこの対立を折衷した見解をとり,肝細胞だけでなく同時に血管その他の間質も侵すNoxeによつてのみ肝硬変が成立すると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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