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文献詳細

雑誌文献

medicina4巻8号

1967年08月発行

文献概要

診断のポイント

異型狭心症

著者: 太田怜1

所属機関: 1自衛隊中央病院・内科

ページ範囲:P.1133 - P.1135

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心筋硬塞,狭心症,異型狭心症の相違
 狭心症を,一過性冠動脈虚血であつて心筋になんら壊死を残さないものというように定義すれば,その的確な診断は,はなはだ困難なこととなる。なぜならば,ある狭心発作が心筋に組織学的な変化を残さなかつたという臨床徴候は,なにも見当らぬからである。したがつて,われわれは,臨床上ある基準をもうけて,狭心症と心筋硬塞とを区別せざるをえない。たとえば,前者では,狭心痛の持続時間が短いとか,心筋壊死を表わす血液化学的反応が陰性であるとか,心電図のST・Tの偏位が一過性であるとか,異常Q波がないとか,などである。
 心電図上の変化では,以上のほか,ST偏位の方向も問題となる。すなわち,狭心症では,主として心内膜下筋層が傷害を受けるので,その部に面した体表からの誘導で,ST低下がみられ,心筋硬塞は貫壁性の変化が多くみられるので,同部の誘導のSTは上昇する。したがって,ある狭心発作があつて,ST上昇のみられたときは,それだけで心筋硬塞と診断して,ほぼまちがいがない。すなわち,このようなST上昇は,狭心痛が去つたあともなお存続し,やがては,心筋壊死を表わす異常Q波がみられるようになるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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