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EDITORIAL
ネフローゼ症候群
著者: 波多野道信1
所属機関: 1日大内科
ページ範囲:P.1153 - P.1153
文献購入ページに移動 最近腎生検の螢光顕微鏡的および電顕的観察が普及するに従い,Volhard,Fahrを初めとする腎疾患の分類を再検討すべきであるという考えが世界の腎臓研究家のあいだに起こりつつある。このような影響はネフローゼ症候群の種々の原因疾患についても同様である。すなわち従来は腎炎性ネフローゼ症候群とされていたもののなかに"Membranousnephropathy"と新しくよばれる疾患がかなり多くあることが判明した。このMembranousnephropathyとは,従来の腎炎とまつたく区別されたprimaryの腎疾患で,糸球体毛細管壁の特徴ある変性像を主体とした腎症である。臨床像としては高度の蛋白尿を主体とし,しばしば典型的ネフローゼ症候を示すものである。発症形式は潜行性で先行感染は証明されず,なんらかの機会に蛋白尿が証明されたり浮腫に気づいて医師を訪れる場合が多い。好発年齢は大部分おとなで,まれには子どもにみられるが,この点lipoid nephrosisとは異なる。臨床経過はlipoid nephrosisと異なり,ステロイド療法に対し反応性がまつたくないことが多く,ときには一時的に有効でも再発をくりかえす。この疾患は非常にゆつくりではあるが進行性で,増悪と緩解とをくりかえしながら,ついには腎不全,尿毒症へと移行する。また末期には高血圧症を合併するようになる。
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