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医原性疾患—ホルモン剤によるもの
著者: 高岡善人1
所属機関: 1長崎大内科
ページ範囲:P.1259 - P.1262
文献購入ページに移動Dorlandによれば医原性疾患iatrogenic diseaseとは1932年ごろSir ArthurHurstが医師の反省として「医師の言動あるいは議論をもとに患者自身の自己暗示によつて起こる障害」を戒しめたのが語源となつている。このころはいま60歳の医師が入局した当時であり,治療剤はきわめて幼稚でサルバルサン,アドレナリン,インスリンがあつたにすぎない。スルファミンもなかつたが昭和7年ごろの患者の医師に対する尊敬もほとんど絶対的であり日本では医原性疾患(I. D. と略)という言葉はつい最近まで知らないですんでいた。大学病院の総回診などは重症または暗示に富む患者に悪い影響を与えがちと思われるがそのまま習慣的に行なわれてきた。
しかるに戦後驚異的な治療効果をもたらす薬剤の発見とともにストマイによる難聴,ペニシリンショック,副腎皮質ホルモンの副産物としての新しい疾患をも経験するにいたつた。その他白血病,がんを初め外科系諸領域を含めてほとんど治療界全般にわたる躍進と副作用について私どもが追いまくられているとき,外国でサリドマイド禍が発表され,あらためてI. D. が浮かび上がつてきた。
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